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最終回を迎えた朝ドラ『ちむどんどん』。沖縄での“ホントの評価”とは?

「沖縄を描いているのにアメリカ人が出てこないのは不自然」

「『ちむどんどん』が大好きで欠かさず観ていたけど、’60〜’80年代の沖縄なのに、アメリカ人がまったく出てこないことに不自然さを感じた」(県出身作家 山田優樹氏) 「あのSNSの炎上ぶりを見ると間違い探しをやっている感がして、健在な見方ではなかったとは思う。ナイチャー(県外出身者)が正義感を出してまっとうなことを言おうとしている感じも気になった」(沖縄の放送関係者)  このご時世、「ドラマだから」という言葉では誰も納得しない。フィクションだからこそ、心の機微を丁寧に掘り起こし、細かい設定にリアリティを持たせて構成しないと、何のメッセージ性も生まれない。当然、映像にしたくてもできなかった部分について検証することも映像の作り手として必要となってくる。  沖縄復帰50年と銘打って作った朝ドラだったが、正直、沖縄県内でもさほど盛り上がることはなく最終回を迎えてしまった。『ちむどんどん』とは、能天気なヒロインが、金曜日にはあらゆるトラブルを運だけで解決してしまうラッキーガールドラマであり、“沖縄出身”ということが特に大きな意味を持つこともないように思えた。 「『復帰50周年イヤーだからこそ沖縄を盛り上げてやろう』と沖縄を舞台として作られたのだろうが、そんなことよりもっと基地問題など今解決しなきゃいけない問題がいっぱいある。残念ながら今回の朝ドラの作りには、やはり沖縄への“他人事”感を思わざるを得なかった」  県民からはそんな声さえ聞かれた。沖縄県民だって、本来ならヒロイン暢子の運にあやかりたいと思って普通に観ていても不思議ではないのだ。彼らにとって一番腹立たしかったのは、あやふやな時代考証や脚本の破綻への怒りよりも、そうした内地(本土)の人間の本質に目を向けない無関心さだったのだから--。  次週からは新たな朝ドラ『舞い上がれ!』がスタートする。今度こそ沖縄県民はもちろん全国民が“ちむどんどん”する朝を迎えられる仕上がりになっていることを祈るばかりだ。
1968年生まれ。岐阜県出身。琉球大学卒。出版社勤務を経て2009年8月より沖縄在住。最新刊は『92歳、広岡達朗の正体』。著書に『確執と信念 スジを通した男たち』(扶桑社)、『第二の人生で勝ち組になる 前職:プロ野球選手』(KADOKAWA)、『まかちょーけ 興南 甲子園優勝春夏連覇のその後』、『偏差値70の甲子園 ―僕たちは文武両道で東大を目指す―』、映画化にもなった『沖縄を変えた男 栽弘義 ―高校野球に捧げた生涯』、『偏差値70からの甲子園 ―僕たちは野球も学業も頂点を目指す―』、(ともに集英社文庫)、『善と悪 江夏豊ラストメッセージ』、『最後の黄金世代 遠藤保仁』、『史上最速の甲子園 創志学園野球部の奇跡』『沖縄のおさんぽ』(ともにKADOKAWA)、『マウンドに散った天才投手』(講談社+α文庫)、『永遠の一球 ―甲子園優勝投手のその後―』(河出書房新社)などがある。

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