更新日:2023年08月30日 17:17
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五輪汚職、特捜の次のターゲットはJOC前会長・竹田恒和氏か。高橋容疑者との「深い関係」も

バッハから「竹田と高橋の関係は大丈夫か?」

五輪汚職

ジャーナリスト・上杉隆氏

 JOC国際業務部参事などの要職を歴任した五輪アナリストの春日良一氏が話す。 「実は、IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長は東京2020の組織委が発足した’14年の段階から竹田氏の人物像について懸念していました。同年6月、私と一緒にいた友人のIOC委員に、バッハが直接国際電話をかけてきて、『竹田と高橋の関係は大丈夫か?』と確認していたことからも明らかです。ちょうど高橋氏が35人目の理事として組織委入りした直後のタイミングで、高橋氏と深い関係にあった竹田氏がJOCの会長職に就いていることに、バッハが重大な関心を寄せていたのは間違いない」  バッハの不安は的中する。同年、国際陸連会長でIOC委員でもあったラミン・ディアク氏がロシアの組織的ドーピングを隠蔽する見返りに賄賂を受け取っていたとして一大スキャンダルに発展したが、この捜査の過程で新たな疑惑が急浮上したのだ。  それが、東京五輪招致を巡って高橋が主導したとされる強引なロビー活動だった。ラミン氏の息子、パパマッサタ・ディアク氏と関係が深いとされるシンガポールの会社に「コンサルタント料」の名目で支払った約2億3000万円の賄賂性が問われフランス検察当局も動いたが、’16年9月、JOCの調査チームは「違法性はなく、倫理規定にも違反しない」とする報告書を公表。五輪開催という一大国家プロジェクトに支障をきたすと考えたからか、身内の恥をもみ消すがごとく早々に事態の収拾を図った。

西武鉄道グループの元オーナーの後押しでJOC会長に

 竹田氏のスポーツとの関わりは、陸軍の騎兵将校で日本馬術連盟の会長も務めていた父・恒徳王の影響が大きかったようだ。実際、竹田氏は小学5年から馬に慣れ親しみ、’72年のミュンヘン五輪と’76年のモントリオール五輪に日本代表選手として出場。  その後、慶應大学馬術部の監督となり、’91年にはJOC理事に就任。その翌年は馬術の日本代表監督としてバルセロナ五輪に派遣されている。  JOCの会長まで上り詰めたのは’01年。初代会長を務めた西武鉄道グループの元オーナー・堤義明氏の強い後押しがあったと言われている。西武グループのホテルリゾートブランド「プリンスホテル」の屋号が、皇籍離脱後、経済的に困窮していた旧皇族の土地を買い取り、建てられたことに由来しているのを知っている読者も少なくないだろう。都心の広大な敷地に佇む旧竹田宮邸も、高輪プリンスホテルへと姿を変えた。
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竹田JOC会長就任で報酬年1500万円に
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