まさにアスリート!! トレーナーと二人三脚で優勝を目指す!!
インタビューに答えるMAX鈴木氏
YouTubeの大食いチャンネルが大当りとなったMAX鈴木氏。しかし、大食いの“プロ”として活動を続けるのはそんなに甘いものではない。プロとしてのレベルを維持し続けるには日頃からの研究や訓練が必要不可欠だが、一般的にフードファイターのトレーニングはイメージできないだろう。果たしてどのようなトレーニングを行うのだろうか?
——フードファイターになる前から他の人よりたくさん食べるといった「フードファイターの片鱗」みたいなものはあったのですか?
MAX:特にはなかったんですけど、いま思えば水商売をやる前くらいに普通の人よりは食べていた時期がありました。寝る前にペヤングを2個作ってパルメザンチーズを丸々1本全部かけるんですよ。これがもう神旨くて……。これを続けていたら半年で体重が80キロから120キロになりました。でも、もしかしたらその時に胃が広がったのかもしれませんね、自覚はないですけど。
——では、フードファイターになってからは具体的にはどのようなトレーニングをしましたか?
MAX:大会、テレビ、イベントと、大食いのジャンルによって違ってくるんですけど、一番ハードな調整をするのは大会です。本気の大会の時は3ヶ月、遅くても2ヶ月前からトレーニングを始めます。内容は僕が決めるのではなく、トレーナーさんが決めているんですよ。高田馬場に「旨辛ラーメン 表裏」っていうお店があるんですが、そこの代表の松下さんにトレーナーをやってもらってます。
流れで言うと、まず胃を広げるのが第一段階。仮に10キロの食材があるとして、「いまのお前だったら1時間で食べられる。でもそれじゃあトレーニングにならないから10分で食え」と。それで無理やり胃を広げて裂けるような感覚になるんですけど、それをガーッと繰り返して、慣れてきたら今度は第二段階となる食材への対応。
例えば大食い王の決勝の場合、制限時間1時間で食べるものはラーメンって決まっているんですよ。トレーニングでは、
できたてのラーメンを電子レンジでチンしてさらに熱々の状態にして、これを30分でどれだけ食えるかのトレーニングをしていました。
そうすると、大会の1週間前には身体がほぼ出来上がっているので、あとは喉のケガや風邪をひかないよう体調面の管理をする。大会に臨む際はこんな感じです。大会に出るまでが辛すぎて、実は大会自体は楽なんですよね(笑)。
クリアできるか分からないデカ盛りメニューに果敢に挑戦し、悶絶な表情を浮かべながらも最終的にはクリアする。大食いファンからするとスポーツ観戦をしている感覚で楽しんでいる人も多いと思うが、時として予想だにしない人から思いがけない感謝の声が届くこともあるという。
——フードファイターをやっていてよかったと感じたことを教えてください。
MAX:以前「うちの子供はお米が嫌いで全然ご飯を食べなかったのですが、MAXさんの動画を観て食べるようになりました!」という話を聞いて、すごく嬉しい気持ちになりました。他にも、胃ガンになってしまって胃の大部分を摘出して食事が取れなくなってしまったお爺ちゃんが、僕が食べているところを観て「自分も食べたような気になり満足して元気が出ました」って言われたのも嬉しかったですね。
借金の利息しか払ってなかった何の役にも立たない男が、こんなに人様のお役に立てているなんて考えもしなかったので、温かい声にはホントにびっくりしました。そう思うと、大食いを始めたことで人との繋がりも金銭面も大きく変わったので、人生なにが起きるかわからないですね。
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借金500万円を抱えてその日暮らしのような生活が続いていたところ、大食いという一筋の光明が差し、人生が大きく変わったMAX鈴木氏。クズ生活を送っていた僅か数年後には、借金を返し終えただけでなく、人の役に立つような人間へと変貌を遂げられたのは、彼の行動力があってこそできたことだろう。何事でも行動を続けていれば、人生を大きく変える何かに出会えるのかもしれない。
取材・文/サ行桜井
パチンコ雑誌『パチンコ必勝ガイド』『パチンコオリジナル実戦術』の元編集者。四半世紀ほど勤めた会社を退社しフリーランスに。現在は主にパチンコや競輪の記事を執筆している。