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42歳男性、年収160万円減で手放したマイホーム生活。督促状の文字に心が折れた

多くの企業が業績悪化に苦しむなか、日本の「中流」と呼ばれた人たちの年収は未曽有のペースで減り続けている。さらにウクライナ問題や円安による物価高も重なり、生活を圧迫された人も少なくない。いまや全国民に襲いかかる年収100万円減の現実。多くの“沈みゆく中流”が直面する生活破綻のリアルを当事者たちの声とともに追った!

年収160万円減でマイホームを手放すことに

年収100万円減社会の衝撃

吉岡宗孝さん(仮名・42歳)

「5歳の息子と思いきり遊べるよう、広いリビングにこだわってこの家を選んだんです。『パパ、サッカーできるよ!』って目を輝かせた息子の言葉が嬉しくて、ようやく一人前の父親になれたようで誇らしかった。でも、今年6月に全社員給与10%カット、残業代・ボーナスなしを言い渡されまして……。この家も年明けに任意売却するんです」 子供用のサッカーボールが転がった18畳のリビングの一角。うなだれる吉岡宗孝さん(仮名・42歳)が東京都府中市で手にした5400万円のマイホームでの生活は、住宅ローン返済破綻により1年で終焉を迎えることになった。 「アパレルメーカーで営業職をやっています。コロナ流行直後から外出自粛のあおりで服が売れなくなっていましたが、昨年までなんとか年収550万円をキープ。しかし今年は記録的な円安によって繊維の輸入コストが急激に増大。販売価格への転嫁もままならないまま業績は悪化し、そのせいで今年の年収は390万円にまで下がる見込みです」

妻の産休も重なり世帯年収は260万円減

年収100万円減社会の衝撃

借入先の住宅金融支援機構から届いた督促状。「“残債務の一括返済”の文字に手放す覚悟をした」(吉岡さん)

昨年9月、頭金500万円を支払い、住宅ローンで4800万円を賄い府中市に一戸建てを購入。月々の支払額は12万5000円だが「フルタイムの契約社員で働く妻の年収300万円も加味すれば、なんとか返せる額」だった。 しかし、昨年12月に妻の第2子妊娠が判明。9月から産休に入ったことで妻の収入は3分の2となり、世帯年収は一気に260万円も下がった。 「月の世帯手取りは10万円減少。頭金を払った直後で貯蓄は微々たるもの。住宅ローンの返済が2か月滞ったときに『僕らがもうこの家に住むのは無理なんだ』と認めざるを得なかった。自分が情けなくて、家族に申し訳なくて、夜中にこのリビングでひとり涙を流しました」
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加速度を増して減少する年収
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表紙の人/ 吉岡里帆

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