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Amazon「5つ星レビューで2000円ゲット」は裏バイト? 弁護士に聞く

サクラレビューは犯罪なのか?

 さらに「自社の商品のサクラレビューを第三者に依頼したり、自ら良いレビューをつけて自作自演をした事業者には、景品表示法の不当表示として法律に違反する可能性もあります」と金田先生は語る。 「不当表示をした事業者に対しては、消費者庁が課徴金納付命令を出すこともあります。そして、消費者庁や都道府県からの措置命令に違反すると、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金、または両方が科せられる場合もあるのです。ただ、一方で個人の場合、上記のようなサクラレビューをしてしまっても、現時点では刑事的な問題になることはありません。ただ、レビューを信じた人を裏切る倫理的にNGな行為ですし、“レビューをしても、現金や商品券をきちんと送ってくれる”といった保証はありません」  また「サイトの規約で禁止されている場合は、その規約に従い、アカウントの停止や解除されることになります」とも述べる。  実際、アマゾンのコミュニティガイドラインでは、自社の製品やサービスに関するコンテンツについて肯定的な評価やレビューの依頼をおこなうこと、報酬を受け取ることについて禁止しており、違反した場合はコメントの削除やアカウントの停止、解除などの措置がある。また、楽天市場のみんなのレビュー投稿ガイドラインでも倫理に反する行為は禁止だ。

名誉毀損罪など刑事罰に問われる可能性も

サクラレビュー

筆者のものに届いた「サクラレビュー」を促すハガキ(表)。右側にはQRコードなどが記載されている

 つまり、現時点(2023年3月)ではサクラレビューに対する個人への刑事的な罰則はなく、たとえ提示されていた現金や商品券がもらえなかったとしても、被る被害額はその商品券代の数千円程度の可能性が高い。しかし、サクラレビューでも「損害賠償問題に発展するケースもある」と金田先生は言う。 「『悪い評価をつけてくれ』といった依頼の場合には話が変わってきます。例えば、特定の企業や商品について悪く書いてほしいと依頼があり、そのとおりにサクラレビューした場合、悪いレビューをされた企業が損害賠償請求訴訟を起こし、民事の責任だけでなく、名誉毀損罪や信用棄損罪など刑事罰に問われる可能性もあります。  そのようなサクラレビューをした場合には、すぐにサイトに削除依頼などをしてレビューを消すことが重要です。ただ、レビューがネットに一度でも公開されてしまった時点で、問題が発生する可能性があるので、書き込む前に十分気をつけてください。10~20代では、サクラレビューで味を占め、だんだん怪しい変なバイトに巻き込まれていって、気がついたら闇バイトに手を出すケースもあるかもしれません」  まずは、書き込む前に「企業や商品に対する自分自身の本当の評価なのか」「レビューを見た消費者などが誤解する虚偽の内容になっていないか」などよく考え、損害賠償問題に発展した場合には早い段階で弁護士など法律のプロへ相談することも大切だと言える。
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サクラレビューの見分け方と対策
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フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意

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