更新日:2024年01月09日 12:06
お金

Amazonは“日本企業のように”「気合でなんとかする」ことをしない… 至極真っ当なその理由

筆者(田中謙伍)はAmazon日本法人に新卒入社し、現在はAmazonで商品を出品するメーカー事業およびメーカー企業へのコンサルティング会社を経営している。 現在の年商は約30億円。D2C事業の成長拡大を目指す企業に対し、データ分析から広告の出稿、新商品の開発まで支援している。そんな筆者は「これまでのキャリアで今の仕事に最も役立っているのは何か」と聞かれた場合、「Amazonの倉庫で働いていた時代」と即答するようにしている。 本稿では、Amazon倉庫でのアルバイト経験で学んだ「ビジネスを拡大する上で見落とされがちなポイント」を解説していきたい。
アマゾン

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あえて決められたルールを破ってみた

筆者がAmazon倉庫でアルバイトしていたのは、Amazon内定者時代の大学四年生の冬ごろだ。2ヶ月間、棚の商品を補充する「棚入れ」という業務を行っていたが、様々なルールがあった。その一つが、マンガ本など同一商品を同時に棚入れしてよいのは、「一つの棚に5冊まで」というものだ。 だが、スピーディに仕事を進めたほうが効率的だと考えた筆者は、10冊まとめて本を持って棚入れしたことがあった。そのほうが生産性が高い、と考えたからだ。

工夫したら怒られてしまう。その理由は?

アルバイトでも創意工夫をして業務改善を行うーー。至極当たり前の行動(むしろ自分は優秀とすら思った)だったが、ある日その動きがマネージャーに発覚。すぐに「いますぐやめてください」とこっぴどく怒られてしまったのだ。 「同時にたくさん棚入れしたほうが効率的じゃないですか?」 そう口にした筆者だったが、「一つの棚に同一商品は5つまで」のルールが、選択ミスをなくし、かつスピードも確保できる上限個数であることがAmazonで決まっていたから、という説明を受けた。 「田中くん個人の目線でいったらその行動はGOODです。ただ、田中くんみたいに間違えない人ってどれくらいいるかな?」 マネージャーいわく、仕組みでルール化しているものは徹底しなくてはならない、秩序が崩壊するのでNGという説明だった。この些細な経験で重要なのは、「ルールを守らないことがNG」ということに加えて「なにが問題なのか」までマネージャーが説明したことだ。
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「善意よりも仕組みを重視する」哲学が
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EC・D2Cコンサルタント、Amazon研究家、株式会社GROOVE CEO。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、新卒採用第1期生としてアマゾンジャパン合同会社に入社、出品サービス事業部にて2年間のトップセールス、同社大阪支社の立ち上げを経験。マーケティングマネージャーとしてAmazonスポンサープロダクト広告の立ち上げを経験。株式会社GROOVEおよび Amazon D2Cメーカーの株式会社AINEXTを創業。立ち上げ6年で2社合計年商50億円を達成。Youtubeチャンネル「たなけんのEC大学」を運営。紀州漆器(山家漆器店)など地方の伝統工芸の再生や、老舗刃物メーカー(貝印)のEC進出支援にも積極的に取り組む。幼少期からの鉄道好きの延長で月10日以上は日本全国を旅している

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