更新日:2023年03月28日 16:33
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4年ぶりに開催された在日クルド人の新春祭り。ひと時の安息を求めて

クルド人の新春祭り「ネブロズ」

華やかな衣装で踊るクルドの女性たち

華やかな衣装で踊るクルドの女性たち

 3月21日、さいたま市にある秋ヶ瀬公園内で在日クルド人たちによるネブロズ(新春のお祭り)が行われた。  新型コロナウィルスが原因で中止が続いていて、今年やっと再開することができた。この祭りを心の拠り所としているクルド人たちにとっては、待ちに待った4年ぶりの開催となった。歌や楽器に合わせて輪になって小指をつなぎ、色とりどりの華やかな衣装に身を包み、楽しそうに、軽やかに踊る。過去のネブロスの中でも特に多い1000人以上が参加し、桜も咲き始める中、春の訪れを喜んだ。

クルド人の難民認定は過去に1人だけ

 第一次世界大戦後、「クルディスタン」というクルド人の住む土地はイラク、イラン、トルコ、シリアに分けられ、差別や迫害などを受けてきた。国家を持たない世界最大の少数民族と言われている。各国に難民として移動するクルド人もいるが、日本在住のクルド人は1990年代から少しずつ来日してきて、現在では約2000人いると言われている。  トルコと日本では相互査証免除協定が結ばれているため、クルド人にとっても来日しやすい。それが理由で日本を選んだという人も多い。  だが日本は他国に比べ難民認定率が極端に低く、トルコ国籍のクルド人が難民として認められたのは2022年の1人しかいない。在留特別許可をもらう人もいるが、その敷居はあまりにも高い。ほとんどの人が在留資格もなく、入管への収容・強制送還に怯えている日々が続いている。  2月に起きたトルコ南東部の大地震の傷跡はまだ新しい。カフラマンマラッシュ、ガジアンテップ、ディアルバクル、アディアマン、マラティア……これらは多くのクルド人が住む町であり、日本にいるクルド人たちの出身地でもある。ネブロスに参加した人たちの親戚も、当然ながらほとんど被害にあっている。多くの家が崩壊し、修復のめどが立たないまま現在も多くの人が寒い中、テントで暮らしている。雪が降る日もあったという。春が来たとはいえ、今も夜は寒い日が続く。  会場では、クルドに関する書籍、クルド料理などを販売し、売り上げの一部を被災者への募金に充てているという。
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入管法改正で、難民申請を3回以上した外国人は送還の対象に
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おだあさひ●Twitter ID:@freeasahi。外国人支援団体「編む夢企画」主宰。著書に『となりの難民――日本が認めない99%の人たちのSOS』(旬報社)、入管収容所の実態をマンガで描いた『ある日の入管』(扶桑社)

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