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チリで迫害を受け来日した料理人、二度目の難民申請が却下。入管法改正案がさらに追い詰める

この先の人生を左右する“運命の日”

クラウディオ・ペニャさん

クラウディオ・ペニャさん

 3月27日、チリ国籍クラウディオ・ペニャさん(63歳)は、東京都港区にある東京入管から「難民申請の結果を伝える」と呼び出された。かつて持っていた在留資格を失い、11年以上もの間、仮放免と収容を繰り返してきたペニャさんにとっては、この先の人生を左右する“運命の日”だった。  13時に3階の難民審査部門へ行き、呼ばれるまで廊下で待つようにと指示された。心配で付き添ってくれた友人たちとともに長椅子に座った。  昨晩は眠ることができず、食事も取ることができなかった。今朝、コーヒーだけ飲んで家を出たという。いつもは身ぎれいにして若々しい雰囲気だが、この日は髪がぼさぼさで見るからにやつれ、睡眠不足のため目がくぼんでいた。顔はこわばり、いつもは明るく冗談を飛ばす彼がずっと黙っていて、その姿はとても痛々しかった。  この日のうちに、二度目の難民申請の結果が出る。2017年にも一度目の難民審査で却下を告げられ、その日のうちに収容されてしまった。今回も万が一に備え、着替えなどの生活用品を一式持ってきていた。いかに収容の恐怖に怯えているのかが伝わってくる。

「難民として認めない」理由に納得ができなかった

 しばらくすると名前を呼ばれ、職員とともに難民審査部門の部屋に入っていった。30分以上たって、結果を知らされたペニャさんが力ない様子で出てきた。結果は、難民として認められることはなかった。せめて「在留特別許可」だけでも……という願いすらむなしく打ち砕かれた。  ペニャさんはダメだった理由に到底納得ができなかった。入管側は「難民だという証拠が足りない」という理由とともに、「ペニャさんがチリ大使館と仲が良いのは難民としておかしい」というのだ。パスポートの更新で大使館へ行ったことについても疑いを持たれている。 「そんな理由はおかしい」と食い下がったが、審査して結果を出した職員と結果を伝えた職員は別の人物なので、訴えてもどうすることもできなかった。何度も友人たちに「おかしい、こんなのおかしい……」と繰り返しながら、悲しそうに笑った。
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ペニャさんは右派政治家や極右勢力に狙われていた
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おだあさひ●Twitter ID:@freeasahi。外国人支援団体「編む夢企画」主宰。著書に『となりの難民――日本が認めない99%の人たちのSOS』(旬報社)、入管収容所の実態をマンガで描いた『ある日の入管』(扶桑社)

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