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維新の圧勝で終わった大阪ダブル選。熱狂を後押しする大阪の「特異な事情」

2010年に旗揚げした大阪維新の会

松井一郎

2020年11月1日の大阪市を廃止して4つの特別区に再編する(いわゆる大阪都構想)住民投票で否決が決まった後の記者会見に臨む松井一郎市長(当時)と吉村洋文知事

国政政党である日本維新の会の母体でもある地域政党の大阪維新の会は、2010年に大阪府の橋下徹知事(当時)と松井一郎府議(当時)によって旗揚げされました。松井府議は自民党の会派に属する議員でしたが、守旧的な体質を打破することを掲げて新会派を結成。以降、橋下徹知事と二人三脚で政治活動を続けてきました。 2011年に府知事だった橋下徹さんが市長選に出馬すると、松井一郎さんは府知事選に出馬。両者どちらも当選し、大阪府と大阪市の両トップが維新になりました。

これまでの慣習をPRに逆利用

ちなみに、知事や市長といった首長選では、幅広い支持を取り付けるために所属する政党から一時的に離党してから臨むのが一般的でした。あくまでも慣習に過ぎませんが、長らく自民党で国家議員を務めていた故・石原慎太郎さんも、1999年に東京都知事選に出馬するときは無所属という形式を取っていました。 維新の候補者は首長選でも無所属という形式を取らず、維新公認を全面的に打ち出しています。吉村洋文候補・横山英幸候補が当選した今回の府知事選・市長選でも同じです。
谷口真由美

アップデートおおさかから立候補した谷口真由美さんはヒョウ柄の衣装で選挙戦を戦った

一方、府知事選に出馬した候補者のうち、共産党で国会議員経験のある辰巳孝太郎候補は無所属、自民党・立憲民主党などが推薦した谷口真由美候補はアップデートおおさかという超党派による団体が擁立したことになっています。また、自民党市議から市長選に出馬した北野妙子候補も自民党公認候補ではなく、アップデートおおさかが擁立しています。 前述したように、知事選・市長選では自身の所属する政党を離党してから立候補するのが一般的です。しかし、維新はそうした超党派による立候補者の擁立を「自民党から共産党までがグルになって改革を邪魔しようとしている」とPR材料に逆利用。それは少なからず一定の効果を発揮してきました。
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維新が熱狂を生み出し続ける理由
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フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。首相官邸で実施される首相会見にはフリーランスで唯一のカメラマンとしても参加し、官邸への出入りは10年超。著書に『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)などがある Twitter:@ogawahiro

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