更新日:2023年07月05日 15:58
仕事

「契約する時だけ同席」…評判最悪な“手柄横取り上司”が失脚するまで

 本来許されることではないが、ビジネスの世界では横行している手柄の横取り。出世街道を歩むエリートの正体が部下の功績を自分のモノにして成り立っていたなんて話は決して珍しくない。  それでもまだしっかり査定を付けてくれたらいいが、なかにはまったく反映されていない場合も。プラント会社に勤める上沢健志さん(仮名・38歳)が以前在籍していた営業部のY課長(52歳)がまさにこんな人物。若いころから気の弱そうなキャラに見られがちな彼は、配属早々上司から格好の獲物としてロックオンされてしまったそうだ。
上司

画像はイメージです

契約書を交わす段階になって急に上司が同席

「最初は慣れない営業の仕事にいろいろとアドバイスをくれるし、自分の中での印象はむしろ悪くありませんでした。ただし、営業部のある同僚からは『あの人(Y課長)には気をつけたほうがいいぞ』とクギを刺されていたんです」  それが手柄の横取りであることは聞いていたが、この時は「部下が挙げた功績であれば、直属の上司にとっても功績になる」との認識程度にしか捉えていなかった。だが、実際にはそんなレベルではなかったようだ。 「営業部に入って半年が過ぎたころ、大口のクライアントとの契約合意を取り付け、あとは正式な契約書を交わすだけの状態になりました。そのことはY課長にも上司ですから報告しましたが、『よくやってくれた。次は私も同席しよう』と言い出したんです」

本来は功労者なのに名前も挙がらず…

 契約は無事成立したが、課長はこれを自分が主導してまとめたものだと上に報告。定例会議でY課長が取締役の1人から直々にお褒めの言葉をいただいていたが、本来の功労者である上沢さんは名前すら挙がらなかった。そのため、社内では完全にY課長の手柄だと思われてしまったという。 「同僚からの注意喚起をこのとき初めて理解しました。しかも、似たようなことが二度三度と続き、査定も現状維持。会社の業績は落ちていないため、常識的に考えればボーナスは増額されて然るべきじゃないですか。それがなかったことに悪意を感じましたし、もう同じ空間で仕事をするのも嫌でした。当時はまだ30代前半だったから転職も本気で考えました」
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会社の調査で次々に余罪が…
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ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。

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