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パルコ、地方での閉店が続くなか「熊本で新業態立ち上げ」のワケ。キーワードは“わさもん”

2006年から店舗老朽化や商環境の変化による閉店が相次ぐ

パルコ

パルコは2012年8月にJ.フロントリテイリング(大丸松坂屋百貨店)傘下となった。東名阪三大都市圏ではPARCO_ya上野や心斎橋PARCOなど大丸松坂屋との連携も目立つ(写真:淡川雄太)

 若者のライフスタイルに与える影響も大きいパルコであるが、2006年8月の「岐阜PARCO」閉店を皮切りに、店舗老朽化や商環境の変化を理由とした閉店が相次ぐこととなる。  パルコは2010年10月の中期経営計画にあわせ、全21店舗を従来の「都心店舗(8店舗)」「関東店舗(8店舗)」「地方店舗(5店舗)」から「都心型店舗(8店舗)」「コミュニティ型店舗(13店舗)」に分類し、コミュニティ型店舗を日常利用に対応したワンストップ型施設に刷新することで、地域に適した持続可能な施設の在り方を模索した。  一環として、調布PARCOでは「3世代消費型ビル」「新郊外型SC」を掲げ全館リニューアルを実施。他店でも津田沼PARCO西友跡「つだぬマルシェ」を始め、食物販の拡充や集客性の高い大型専門店の導入を進めるなど、都市型ショッピングセンターとして従来以上の地域密着化に取組んだ。

コミュニティ型店舗は消滅する見通し

パルコ

2019年5月に閉店した宇都宮PARCO。閉店後4年経過した現在も空きビルとして跡地活用の目処が立っていない(写真:淡川雄太)

 その後、パルコは2019年に全19店舗を「都市型店舗(13店舗)」「コミュニティ型店舗(6店舗)」に再分類したが、再分類時点でのコミュニティ型店舗は6店舗中2店舗が閉店検討もしくは閉店発表済みという段階にあるなど、商圏人口や売上に課題を抱える“閉店候補”としての色合いが濃いものとなった。  2024年2月には「新所沢PARCO」、2025年2月には「松本PARCO」が閉店予定であり、コミュニティ型店舗は消滅する見通しだ。  一方、2020年2月に閉店した「熊本PARCO」は大都市圏から離れた地方のコミュニティ型店舗にもかかわらず、異例となる新業態としての復活が実現した。そこには熊本という街ならではの理由があった。
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熊本の若者の誇りだったパルコ
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都市商業研究所』。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitter:@toshouken

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