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相続で損しないためには?“生前贈与のルール”が65年ぶりに大改正

「相続時精算課税制度」に基礎控除が新設

 2023年度の税制改正では、相続時精算課税制度についても、ルールの変更があった。  相続時精算課税制度とは、60歳以上の親や祖父母から18歳以上の子どもや孫に生前贈与する際、2500万円までなら贈与税がかからないという制度だ。ただし、相続が発生したら、贈与した全額が相続財産に加えられる。  今回の改正では、この制度に新たに年間110万円までの基礎控除が設けられることになった。 相続時精算課税制度について たとえは、死ぬ直前まで、相続時精算課税制度を利用して5年にわたって2500万円を贈与していた場合、これまでは2500万円全額が相続税の対象になっていたが、改正後は相続税の対象になるのは1950万円(2500万円−110万円×5年)になるということだ。これでわかるとおり、今回の改正によって、相続時精算課税制度は利用しやすくなったといえる。  相続時精算課税制度は、相続財産が少なく、相続税がかからない場合は有効な手段といえる。しかし、誰でも利用できる制度だが、たとえ少額でも、利用する際には税務署への申告が必要となるなど、利用する際には面倒な手続きも発生するので注意が必要だ。

暦年贈与と相続時精算課税制度はどちらが得?

家族で話し合う様子 暦年贈与のルールが厳しくなり、相続時精算課税制度に優遇措置が取られたのなら、どちらも利用すればいいのではないかと思われるかもしれないが、残念ながら、この制度はどちらか一方しか利用できないことになっている。  そして、いったん相続時精算課税制度を利用したら、暦年贈与は二度と使えない(暦年贈与から相続時精算課税制度への変更は可能)。  それでは、どちらの制度を使ったほうが得なのか、という話になるが、場合によるので、専門家に相談したほうがいいだろう。一つ言えるのは、相続財産が相続税の基礎控除以内に収まる場合は、相続時精算課税制度のほうがいいということだ。  相続と贈与については、今後も改正される可能性はある。相続・贈与を控えている人は、気をつけたいところだ。  自分の死後、残される家族にとって大切な財産をできるだけ相続するために、元気なうちからしっかり準備しておきたい。 文/曽根恵子 構成/日刊SPA!編集部
【相続実務士】の創始者として1万4,800件の相続相談に対処。相続対策サポート専門会社である”夢相続”を運営し、“オーダーメード相続”を提案。
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【図解】身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本

65年ぶりの大改正。大きく変わった相続のルールを解説

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