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“12浪”早大生が歩んだ数奇な人生「この世に大学は早稲田しかない」と考えていた

同級生が社会人になっていくなか、6浪突入

4浪目からは再び環境を変えようと祖父の家で居候を開始したが、やはり不合格。5浪目からは実家に戻ったものの結果を出せず、6浪目には予備校入学を決意した。すでに23歳で、同級生の多くは社会人になっていた。 「その年の試験の帰り、大学の門で大手予備校がチラシを配っているのを見かけたんです。『今年は易化した』とか『僕たちの授業を受けていたなら簡単に解けたはず』とか、色々と偉そうなことが書いてあったので、そこまで言うなら最後にここで金を使って終わりにしようと思ったんです」

弟の結婚式で浪人脱出を決意

田中健司さん(仮名・37歳)

12浪の間使い続けた勉強机

予備校にはラーメン屋でバイトをしながら2年間通ったがうまくいかず、再び年単位での宅浪を続行。もはや浪人生というよりニートや引きこもりに近い状態だった。延々と浪人を続けた結果、田中さんは30歳で12浪目を迎える。この年、大きな出来事があった。 「弟の結婚式に出席したのですが、彼が社会人として立派に自立している姿を見て『もう浪人を繰り返すのはやめよう』と決意しました」 図書館に籠る日々を続け、12浪目は文学部と文化構想学部、教育学部を受験。ついに文学部と教育学部に合格した。試験後に合格の手応えがあったのでネットでの合否確認はせず、書類が自宅に郵送されたのを見て、合格を知った。 「やっと終わったという感じで、ほっとしました。でも、受かって当然と思っていたので、嬉しさはまったくなかったです。それより、『これでちょっとは人間らしく生きられる。人様に恥ずかしくない姿で家の外を歩ける』と思いました」
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留年を繰り返し8年生に…
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