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ラブホにハマったきっかけは「不倫カップルの撮影」…“ラブホ1000部屋”を巡った女性が「“昭和ラブホ”に人生をかけたワケ」

 ラブホテル愛が止まらず、全国のラブホテルを訪れている女性がいる。  名前は那部亜弓(なべあゆみ)さん。本業は写真家で、ラブホテルに宿泊しては部屋を撮影し、SNSにアップする日常を送っている。2024年には、撮りためた写真を精選して1冊の写真集とした『HOTEL目白エンペラー』(東京キララ社)を上梓した。
ラブホテル

那部亜弓さん 
撮影/さかもツインねね

 昭和レトロな雰囲気のラブホテルがとりわけ好きだという那部さんに、ラブホにまつわる様々なことをうかがった。

不倫カップルとラブホテルに…

——ラブホテルが好きになった、そもそものきっかけはなんでしょうか? 那部亜弓さん(以下、那部):2015年頃、自分で働ける時間を選べる仕事がいいなと思い、写真家を志しました。依頼に応じて結婚式などの撮影を行い、いろいろなジャンルの仕事を受けるにつれて、ヌード撮影といったニッチな要望をもつお客さんが増えていきました。撮影者が女性だと、相手が安心することもあるようです。 その仕事を3年ほど続けた2018年のある日、とあるカップルに依頼されたのが、「川崎迎賓館」というラブホテルの一室での撮影でした。今は廃業していますが、ドラマや映画のロケにも使われていた有名なところです。そのカップルのリクエストは、「ここで自分たちの結婚写真を撮ってほしい」というもの。 ただ、実は2人は不倫カップルで、結婚式は挙げられないから、せめて写真だけでも選んだ場所で撮っておきたいということでした。 たしかに、そのホテルの内装は、まるで教会のチャペルにも匹敵する豪華さ。一生の思い出に残るような特別な一夜を演出する部屋も備えられていました。
ホテル

川崎迎賓館の内部 
画像提供/那部亜弓(以下同)

ここのラブホテルに行ったことにより、私の中にあったラブホテルの固定観念が覆され、180度意識が変わったのです。

訪れた部屋は約1000室

 この体験で那部さんは、ラブホテルの魅力に開眼。方々に出かけては、写真に収めるようになった。 ——これまで何軒くらい訪れたのでしょうか? 那部:正確に数えてはいませんが、380軒ぐらいは行ったと思います。1軒の中でも何部屋かはしごすることもあるので、部屋数でいうと1000室近くになるでしょうか。あと、ここ最近ではホテル側からの内装写真の撮影依頼もあり、その場合はホテル丸々全室撮影しております。1人で部屋を借りるので、交通費も入れると相当なお金を費やしてきましたね。 ちなみに、ラブホテルは1人で泊まってはダメということはありませんが、ホテルのスタッフが防犯のために確認しにきたり、電話してくることは何度かありました。
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豪華なラブホテルが消滅の危機にある理由
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ライター、写真家、ボードゲームクリエイター。ちょっとユニークな職業人生を送る人々が目下の関心領域。そのほか、歴史、アート、健康、仕事術、トラベルなど興味の対象は幅広く、記事として書く分野は多岐にわたる。Instagram:@happysuzuki

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