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店舗を減らし続ける「磯丸水産」。“天下を取った”浜焼き居酒屋の栄枯盛衰

化学メーカーで研究開発を行う傍ら、経済本や決算書を読み漁ることが趣味のマネーライター・山口伸です。『日刊SPA!』では「かゆい所に手が届く」ような企業分析記事を担当しています。 さて、今回は「磯丸水産」や「鳥良商店」といったヒット作を生み出した「SFPホールディングス株式会社」の業績について紹介したいと思います。 磯丸水産は、都心の駅前で安く浜焼きを楽しめる点や、24時間営業で夜勤明けの飲酒需要を取り込んだ点が成功に繋がっています。また、コロナ禍以降は近年注目されている“ネオ大衆酒場”という形態で業績拡大を目指すようです。今回は同社の沿革や、今後の方針について見ていきたいと思います。
磯丸水産

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2009年に「磯丸水産」1号店をオープン

SFPホールディングスはもともと、1984年に東京・吉祥寺で創業した手羽先唐揚専門店「鳥良」から始まりました。その後ゆるやかに成長して1994年には全店10店舗体制となり、組織再編を経て2008年には50店舗体制となりました。 同社が著しく成長したのは2009年に海鮮系居酒屋「磯丸水産」1号店をオープンしてからです。磯丸水産はすぐに人気店となったようで、翌2010年には10店舗を超えました。その後、磯丸水産は2015/9期に100店舗を突破し、2017/2期には155店舗体制となりました。 店舗数自体は他の居酒屋チェーンと比較して決して多い水準ではありませんが、東京の駅前一等地へ積極的に進出したため消費者の間でも高い認知度を獲得しています。

磯丸水産が成功した3つの要因

数字で見ていくとSFPホールディングスはピーク時には10%を超える経常利益率を記録しました。他の居酒屋チェーンの経常利益率がおおよそ5%未満であることを考えると、非常に高い水準です。 磯丸水産が成功した要因として(1)駅前一等地という立地戦略、(2)24時間営業体制、(3)浜焼きのエンターテイメント性の3点があげられます。 (1)に関して磯丸水産は東京や大阪の駅前一等地への出店を続けた結果、高い集客力と認知度に繋がりました。一方で一等地への出店についてはコスト面が気になるところですが、これについては(2)24時間営業体制をとり、他チェーンの店舗よりも多く売上を確保することで高い家賃をカバーしました。 深夜から朝にかけては夜勤明けの肉体労働者、飲食店勤務者を取り込み、昼から夕方にかけては昼飲み需要を取り込んでいます。また、時間帯によってメニューも変えており、海鮮丼を提供することで昼間は定食屋としても機能しています。 そして(3)浜焼きのエンターテイメント性も、消費者を惹きつけたといえるでしょう。浜焼き自体は珍しいものではありませんが、都市部で安く浜焼きができるお店という条件で絞ると数は限られます。
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“磯丸メソッド”をフル活用した「鳥良商店」
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経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_

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