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店舗を減らし続ける「磯丸水産」。“天下を取った”浜焼き居酒屋の栄枯盛衰

売上の回復は道半ば。今後の戦略は?

コロナ禍では多分に漏れず宴会需要の自粛や休業により業績は大幅に悪化しました。2019/2期から2023/2期の業績は次の通りです。23/3期における磯丸事業と鳥良事業の店舗数はそれぞれ119店舗と37店舗となっており、売上の回復は道半ばのようです。 【SFPホールディングス株式会社(2019/2期~2023/2期)】 売上高:378億円→402億円→174億円→104億円→229億円 営業利益:29.1億円→25.5億円→▲53.4億円→▲79.2億円→▲7.5億円 今後の戦略について同社は主に(1)深夜営業再開の継続、(2)地方都市への出店、(3)“ネオ大衆酒場”の開拓の3点を掲げています。 ネオ大衆酒場とは近年みられる形式の酒場であり、古い大衆酒場のようなレトロ感を出しつつも明るく清潔感のある店舗形態が特徴の居酒屋のこと。「もつ煮込み」などの大衆酒場っぽい料理を提供するほか、色鮮やかなカクテルなどSNS映えを意識したドリンクを提供する店舗もあるようです。 なお、SFPホールディングスでは既に「五の五」などのネオ大衆酒場を出店し、磯丸・鳥良に代わる第二の成長軸として拡大を目指す方針を掲げています。「五の五」のメニューをみると料理やドリンクは一般的な大衆居酒屋そのものであり、映え要素はありませんが、明るく簡素な造りの店舗が特徴的です。 鳥良商店はコロナ禍で店舗数が激減し、磯丸水産はそれ以前から伸び悩んでいました。既存の主力ブランドは厳しい状況にあります。SFPホールディングスの今後はネオ大衆酒場の成否次第といえるでしょう。 <TEXT/山口伸>
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_
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