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店舗を減らし続ける「磯丸水産」。“天下を取った”浜焼き居酒屋の栄枯盛衰

“磯丸メソッド”をフル活用した「鳥良商店」

2015年にSFPホールディングスはメインブランド「磯丸水産」、「鳥良」に加え、「鳥良商店」の1号店をオープンしました。鳥良商店は手羽先唐揚や焼鳥、鉄板焼きなどの鶏料理を主体とする居酒屋ですが、磯丸水産の成功法則に則り駅前一等地への出店や深夜・24時間営業(一部)を基本戦略としています。 鳥良商店も出だしは好調だったようで、翌年には10店舗体制となり、その後は新規出店や磯丸水産や鳥良からの転換という形で店舗数を増やしました。 磯丸水産のように店舗立地や営業時間体制も要因ですが、低価格ながら質の高い鶏料理を提供した点も成功につながった要因の一つといえます。また、単なる焼鳥屋ではなく鶏料理全般として訴求した点も消費者を惹きつけたのではないでしょうか。

競合の海鮮居酒屋も同様に苦戦

一方で磯丸水産に関しては、2017/2期以降、伸び悩みました。大局的な流れで言えば日本人の魚離れは進んでおり、特にお酒の席では魚よりも肉類が好まれるようになったことが伸び悩んだ要因として考えられます。 競合の状況を見ると海鮮系居酒屋「庄や」「大庄水産」などを運営する株式会社大庄は2008年以降、規模縮小が続いたほか、同じく海鮮系の「はなの舞」や「さかなや道場」などを展開するチムニー株式会社も2015年以降は減収が続きました。
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売上の回復は道半ば。今後の戦略は?
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経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_

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