スポーツ

“目標達成”のバスケ日本代表。「平均失点85.2」のチームが3勝できた理由

八村塁の参戦で「インサイドの得点力」が倍増?

 日本の試合内容として、オフェンス合戦の殴り合いを制するかたちは、ワールドカップ開幕前にはなかなか予想しづらかった。東京オリンピックの女子日本代表がそうであったように、守って守って3ポイントシュートの爆発を待つスタイルが予想されたからだ。  選手やHCなどチーム全員が、当初はそのスタイルを想定していたのかもしれない。しかし、3ポイントシュートが思うようにハマらないなかで、「どこに勝機を見いだすか」を冷静に考えて着実に遂行したことで、これまで1勝を挙げることさえできなかった世界大会で3勝を挙げることができた。  これまでの日本代表では武器になるとは考えづらかったインサイドでの得点で、世界と渡り合う力を得たことは、今後の戦いに向けて非常に大きな要素となる。  もし来年のパリオリンピックに八村塁が参加するのであれば、この武器の威力は倍増する。インサイドが止めづらくなれば、3ポイントシュート対策も打ちづらくなる。ひとつの成功体験が、バスケ日本代表の可能性を大きく広げようとしている。

「日本バスケの未来」にかかる期待

 そして、もうひとつ期待したいのがバスケへの注目度への向上、バスケ人気の拡大だ。
バスケ ワールドカップ

渡辺雄大はアメリカに戻り、新チームとなるフェニックス・サンズでの活躍が期待される

 渡邊雄太が何年も心折れることなく努力を重ねて、NBAで自分のポジションを築いた。今後は優勝候補のフェニックス・サンズでプレーする姿に是非注目してほしい。  富樫勇樹に比江島慎、ジョシュ・ホーキンソン、そして若きスター選手である河村勇輝のプレーは、Bリーグで見ることができる。日本代表に限らずとも、個性豊かで日々進化しているタレントは多数いる。  このワールドカップをきっかけに、是非お気に入りの選手を見つけて注目してほしい。そうすれば、来年夏のパリオリンピックは今回よりもっと楽しめるはずだ。 <TEXT/章本梨央>
フリーランスのスポーツコンテンツエディター。Bリーグ創設の2016年に立ち上がった日本最大級のバスケットボール専門メディアの専属ライターおよび編集者として取材を行い、Bリーグ、Wリーグ、日本代表、高校バスケや大学バスケなど幅広くバスケットボールを取材。今もバスケを中心に多くのスポーツコンテンツ制作を手掛ける
1
2
3
おすすめ記事