更新日:2023年09月13日 18:35
デジタル

iPhone15、USB-C採用でも“買わない”理由。本命は来春の「SE」か

大企業Appleは生成AIをどう扱う?

 最後に、近年流行りの「生成AI」とAppleの葛藤についても触れておきたい。  この世の春を謳歌するAppleは、周知の通り、べらぼうに高い開発力を有している。ところが生成AIの分野においては、対話型の「ChatGPT」や、画像を生成する「Stable Diffusion」の話題ばかりで、Appleの名前を聞く機会に乏しい。  この背景には、アメリカのエンタメ業界における強い労働組合の存在が挙がる。アメリカで5月に始まった脚本家組合によるストライキは、俳優組合などを巻き込んで大型化し、9月13日現在に至るまで続いており、生成AIの無軌道な利用を規制するよう訴えている。  6月のApple発表会「WWDC」でも、Mac Proのプレゼンテーションにおいて、生成AIへの言及を意識的に避けているような一幕があった。本当ならば画像生成などの高度なAIを実演できるのにもかかわらず、である。これは、“クリエイターの味方”という立場を優先したためと考えるのが妥当だ。
Apple20230913

「母なる自然」の代弁者がApple社を訪れるというコミカルな寸劇を放映し、Appleは地球環境問題でも先進企業だとアピール

 もっとも、今日の技術革新をみすみす放って置きたいAppleではない。今回のプレゼンでも、「iPhone 15 Proのチップを使えば、発話能力を失う可能性のある人が、自分の声のデータを再現可能な状態で記録できる」と製品をPRした。対立が巻き起こる場面は避けつつも、AI自体はあくまで積極活用していく考えのようだ。  EUの法規制と、アメリカのストライキ。取った形は違うが、いずれも市井の人々の意見と行動が、Appleというスーパー大企業の商品開発に影響を与えている。そんな事実を確認したいiPhone 15の誕生劇であった。 <TEXT/ジャンヤー宇都>
「平成時代の子ども文化」全般を愛するフリーライター。単著に『多摩あるある』と『オタサーの姫 〜オタク過密時代の植生学〜』(ともにTOブックス)ほか雑誌・MOOKなどに執筆
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