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三宅裕司が語るラジオ・テレビ黄金時代「生放送なのに女の子の下半身が丸出しに」

ハプニングが続出した「イカ天」

――最後に1989年に始まった「イカ天」こと『三宅裕司のいかすバンド天国』(TBS)についてお伺いします。 三宅:菅原正豊さんというプロデューサーからオファーがあったんですが、最初は「日比谷シャンテのスタジオを使って何かやる」ぐらいのざっくりした企画でした。それが深夜帯で、アマチュアバンドの演奏を事前収録しておいて、それを生放送で流して、審査員たちがジャッジして、ワイプ攻撃をするという企画に発展したんです。当時はインディーズバンドが熱かったですしね。 ――早くからイカ天は話題になりましたよね。 三宅:初回放送で、審査員のワイプ攻撃によって、どんどん自分たちの演奏が小さくなっちゃうことに腹を立てた女の子が、生放送なのに下半身丸出しになったんです。波乱含みのスタートでしたが、そんなハプニングが話題になったのと、つっぱったバンドメンバーが次々と出て来る、何が起こるか分からない深夜番組ということで、すぐに番組の注目度も高まりました。

審査員の話を聞くのが楽しかった

――言わば素人ですから、まとめるのも大変だったのでは? 三宅:そうですね。ただ、つっぱって威勢のいいことを言っている子たちも、手と足が震えていたりするんですよ。本番が始まる前も素直で、「今日は一緒に盛り上げような」って声をかけると、「分かりました!」と。ところが本番が始まると、「冗談じゃねえよ!」って悪態をつく(笑)。そのギャップも面白かったし、審査員に錚々たるミュージシャンが集まってくれたのも大きかったですね。僕も中学生の頃からバンドをやっていて音楽大好きだったので、毎回審査員の話を聞くのが楽しかったです。 ――吉田建さんや伊藤銀次さんを始め、腕利きのミュージシャンが揃っていましたからね。 三宅:審査員も若い頃からつっぱってきた人たちなので、若いバンド相手でも絶対に引かないんです。「そんなんじゃダメだよ。絶対に売れないよ」ってお構いなし。僕はおろおろしながらもフォローしていました。 ――特に印象的なバンドを挙げていただけますか。 三宅:初めてBEGINやたまを聴いたときも衝撃でしたけど、バンド経験者としては初代グランドイカ天キングに輝いたFLYING KIDSの「幸せであるように」を聴いたときはボーカルとサウンドが素晴らしかったし、特にスネアの音が良かったんです。審査員も同じような意見を言っていたので、同じ感想だったのがうれしかったですね。 取材・文/猪口貴裕 撮影/武田敏将
出版社勤務を経て、フリーの編集・ライターに。雑誌・WEB媒体で、映画・ドラマ・音楽・声優・お笑いなどのインタビュー記事を中心に執筆。芸能・エンタメ系のサイトやアイドル誌の編集も務める。
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劇団スーパー・エキセントリック・シアター 第61回本公演
「ラスト★アクションヒーロー~地方都市に手を出すな~」

日時:2023年10月19日(木)~10月29日(日)
場所:サンシャイン劇場

【作】𠮷井三奈子
【演出】三宅裕司
【出演】三宅裕司 小倉久寛
劇団スーパー・エキセントリック・シアター

劇団スーパー・エキセントリック・シアター第61回本公演は、とある地方都市に潜入した公安特殊部隊とスパイ組織による、極秘に開発された超小型スーパーコンピューターを巡るスパイアクション。純朴な町の人々を巻き込み水面下の攻防戦が繰り広げられる、男たちの熱き絆と友情の群像劇。劇団スーパー・エキセントリック・シアターが最も得意とする“アクションの集大成”。
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