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サイゼリヤが“日本では赤字”でも、コロナ禍前より高い利益を叩き出す理由

原価率が上がって営業利益率を高めたサイゼリヤの謎

 特異な収益構造になっているのが、サイゼリヤ。営業利益率は7.1%と4社の中で最も高い数字ですが、原価率も同じく4社の中で最も高い39.8%でした。  社長自らが値上げをしないと断言する同社。現在、日本事業は赤字で、海外事業で利益を出しています。2023年8月期の日本事業は14億9100万円の赤字、豪州が2億4800万円の黒字(利益率3.3%)、アジアが84億5000万円の黒字(利益率13.5%)でした。  海外事業で利益を出しやすい要因の一つに、円安効果があります。2023年8月期は59億8000万円もの為替による増収効果を生んでいます。ただし、為替による影響だけで利益率を高めているわけではありません。経費削減の追求もしています。

「不採算店の閉店」や「深夜営業の廃止」が功を奏す

 サイゼリヤは販管費率を57.9%から53.1%へと引き下げることに成功しています。もともと4社の中で販管費率が最も低い会社でしたが、更に引き絞りました。
4社の販管費率

4社の販管費率 ※決算短信より筆者作成

 サイゼリヤは2023年8月期において、国内事業で販管費が62億5000万円、海外事業で56億4000万円下がり、利益を押し上げたと説明しています。カットしたのは主に家賃と労務費です。国内外で不採算店の閉店を進めており、その成果が出ていると言えるでしょう。  加えて深夜の時間帯の営業を止めたことも、人件費の削減に一役買っていると考えられます。
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「直営店を230店舗縮小した」ジョイフル
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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