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「男たるもの、弱音を吐くんじゃない」同じ男性からも責められ…逃げ場のない“弱者男性”の悲鳴

みんなが自己責任で弱者男性になったわけではない

弱者男性パンデミック もちろん、根拠のない差別感情で無関係な女性を害してはならないし、政府が人生の全責任を負ってくれるわけでもない。他方、就職氷河期、リーマン・ショックなど、貧困ひとつとっても自分のせいでは片付けられない事情が日本にはあった。  また、日本女性の多くが伴侶に自分より高い年収を求めている、たとえチャンスがあっても正社員になりたがらない……といった事情は実際にあるのだ。そういった視点に対し、議論をすることに何ら問題はない。 弱者男性パンデミック

たまには内輪でガス抜きしてもいい

 だが、これまでに自分へ刷り込まれてきた「男たるもの、弱音を吐くんじゃない」というプレッシャーが、男性を黙らせる。弱音を吐き出せたとしても、同じ男性から心無い投稿が相次いでしまう。そうすればますます、男性は口を閉ざしてしまうだろう。  これまで、男らしさから降りてもいいとアプローチしてきた女性たちも「弱音を吐いてもいいけど、私たちには唾を吐くな」というのが、暗に示されたメッセージだった。だが、女性で男性不信を公に発信している女性は多数おり、それが咎められることはない。むしろ、そうなった背景に同情されることのほうが多い。  であれば、男性が他責になること、ひいては「女なんて……」と内輪でぼやく自由も、同様に保障されていいのではないだろうか。それが情けない、ガス抜きにすぎないと言われたところで、ガス抜きすら許されない社会よりは、ずっとまともなのだから。
ライター、経営者。主にキャリアや恋愛について執筆。5000人以上の悩み相談を聞き、弱者男性に関しても記事を寄稿。著書に『弱者男性1500万人時代』(扶桑社新書)『ハピネスエンディング株式会社』(小学館)。X:@10anj10

弱者男性1500万人時代 (扶桑社新書)『弱者男性1500万人時代』 (扶桑社新書)

データで読み解く“弱者男性国家”ニッポンの現在

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