更新日:2023年12月15日 09:48
エンタメ

二階堂ふみ「『翔んで埼玉』を見た海外の友人には『半分あってて、半分誇張』って説明しました」

“無駄”なものにこそロマンがある

――そんな二階堂さんですが、どうしてこんなに欲まみれのSPA!と向き合ってくれるんですか? 悪く書かれたくないからです(笑)。表紙をさせて頂くときに隣に変な見出しとか来たら嫌なので(笑)。 ――余計な心配をおかけしてすみません。雑誌メディアも4年前と比べ、サブスクへの移行や書店の減少など、激しい変化の波に晒されています。 いろいろな見出しが並ぶ雑誌の表紙って独特の文化だと思いますけど、なんだか寂しいですね。こないだも母と「“無駄”にこそロマンがあるよね」って話をして。 それは過剰生産とかではなく、昔の家具でも「これはデザインとしてつけているんだろうな」みたいなものってあるじゃないですか。あと、昔はスマホがなくて不便だったけど、その不便さから“物語”が生まれていたと思うんです。 それらの無駄がどんどん短略化されて、物語が生まれづらくなったなと感じるんですよ。昔がすべて良いとは思いませんけど、コスパ重視とかタイパ重視とか、そういった価値観が人間を逆に豊かじゃなくしているような気がするんです。 ――深い考察です。確かにそうかもしれないです。 豊かさとは物質的なものではなく、時間とか経験みたいなものにこそあるのではないかと。「これ何のためにいるんだろう、あるんだろう?」って思うものに心を寄せられるようになったほうが、人生はもっと楽しくなるのかなって。それこそ自分がやっている俳優の仕事なんて、コスパとかタイパとは真逆の存在だと思います。でも、時間と手間をかけないとつくれないものって絶対あるし、そういうものが一生ものになったりするわけで。 こないだ実家に帰ったとき、片づけをしていたら自分が切り抜いてつくった雑誌の記事のスクラップがでてきて。それを読んでいたら感動しちゃって。今はスクリーンショットとかですぐ共有できるけれど、すぐ忘れちゃうんですよね。これは人間が退化していくぞ、と危機感すら覚えていて……。 あ! 思い出しました。30代の目標は、身の回りからデジタル製品をどれだけなくしていけるかトライしようと思っていて。 ――素敵な目標ですね。 そうすれば急なセリフの変更も送れないだろうし。「FAXもないので口頭でお願いします」って(笑)。 【二階堂ふみ】 ’94年、沖縄県生まれ。’09年『ガマの油』で映画デビュー。主な代表作に映画『ヒミズ』『私の男』『リバース・エッジ』『ばるぼら』『月』、ドラマ『西郷どん』『エール』『VIVANT』など。主演映画『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』は11月23日(木・祝)より全国ロードショー。出演はほかにGACKT、杏、藤原紀香、片岡愛之助ら 撮影/唐木貴央 取材・文/中村裕一 ヘアメイク/渡嘉敷愛子 スタイリング/RIKU OSHIMA 衣装協力/tiit tokyo(THÉ PR)、Charles Chaton
株式会社ラーニャ代表取締役。ドラマや映画の執筆を行うライター。Twitter⇒@Yuichitter
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