二階堂ふみ「『翔んで埼玉』を見た海外の友人には『半分あってて、半分誇張』って説明しました」
「埼玉県民にはそこらへんの草でも食わせておけ!」と、空前絶後の埼玉ディスりで大ヒットを記録した『翔んで埼玉』。続編の『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』が、動員100万人を突破し大ヒット上映中だ。本作では、関西も巻き込んでさらに大規模な東西対決が勃発。前作同様、二階堂ふみは壇ノ浦百美役で参戦する。
――大ヒットした前作の続編ということで、二階堂さんは今作にどういう気持ちで臨まれましたか?
正直、続編を作るって聞いたときは、「やめたほうがいいのでは」って監督にお伝えしました(笑)。でも、脚本をいただいて読んだらすごく面白くて、完成したものはその倍面白くなっていました。
――今回は埼玉のみならず関西も巻き込んで、おなじみの壮大な茶番劇が繰り広げられていきますが、個人的に関西の好きなところはどこですか。
関西は大好きです。私は最西端(沖縄)出身ですけど。関東にはない雰囲気というか、ちょっとテンションの高い感じが好きだなって思ってましたが、そんな関西にもヒエラルキーがあるんだなっていうのを、改めて感じさせられましたね。
今回もギリギリOKなのかギリギリアウトなのか、いろいろな方面の方々に失礼になってないか心配になりますけど、異文化が混在しているのが日本の良さでもあると思うので、日本を代表する作品になるんじゃないかって思います。
――先日優勝した阪神タイガースの「アレ」が話題になったように、独特の文化というか、心を開きやすい空気感って関西にはあると思います。
入るまでの門の高さみたいなものはありますけど、入ると一気になじむというか。逆に関東はそんなに門は高くないけど、意外と入り込んだ後が難しかったりする気がします。関西は一回入っちゃうと「あれ? 私こっちの出身だったっけ?」っていうくらい。それがすごく面白い場所だなって。
気づいたら私の周りってけっこう関西の方が多いんです。大阪、兵庫、京都……。仲の良い有村架純ちゃんも兵庫出身ですし。今回の映画のキャンペーン中は「関西方面に友だち多いです」アピールを少しずつしていこうかと(笑)。
――滋賀解放戦線のリーダーを演じた杏さんと大阪府知事役を演じた片岡愛之助さんをはじめ、かなりパワーアップというかスケールアップした感がありました。
おかげさまで前作をたくさんのみなさんに観ていただいて、景気がよくなった感じがありましたね。豪華なゲストの方々がたくさん出演してくださった現場の熱量がスクリーンを通して伝わったらいいですね。舞台は関西ですけど、関東の方が見ても面白いと思います。私自身も知らなかったことがたくさんありましたし。
――自分は恥ずかしながら琵琶湖の水が大阪と京都に供給されていることを知りませんでした。
でも権利は京都が持っているんですよね。滋賀県出身の友だちがよく「琵琶湖の水、止めたるで~!」「でも、権利は京都が持っているんや」と言ってて。いろいろ大変そうだなと。
――この映画が、知ってそうで知らない日本の事柄について知るきっかけになるかもしれませんね。
この間お仕事で行ったイギリスで、イギリス人の友だちが「ふみの映画、見た」って言うから「何見たの?」って聞いたら「『翔んで埼玉』。日本の映画、面白い」って言っていて。イギリスもフランスとのライバル意識みたいなものがあるみたいで、「日本はあんな感じなのか?」って尋ねてきたので、「半分あってて、半分誇張している」って説明しておきました。GACKTさんとも話したんですけど、俯瞰で見るとこれぐらい滑稽なことを人類は何千年、何万年と実はやってきているんだな、っていうふうに考えさせられるんですよね。
――前作もそうでしたが、一見、奇天烈に見えるけど、価値観の対立や分断、それによって起こる争いなど、今の社会や世界情勢にも通じる、実はすごく深く壮大なテーマが内包されている作品なのではないかと思いました。
その通りです(笑)。ぜひそこを書いてください。
――二階堂さんもそう感じますか?
対立もそうだし、差別も、引いて見てみるといかに馬鹿馬鹿しいことなのか、それがこの作品の一番のメッセージだと思います。前作のときはまだロシアとウクライナの戦争もコロナ禍もありませんでした。この数年でいろいろな“分断”が可視化されていくなかで、このようなエンターテイメントが必要なのかなとも思いました。
続編を作るって聞いたときは、「やめたほうがいいのでは」
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