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ドジなのに何故か営業成績がいい新入社員…彼女が販売ノルマ達成のためにやっていた“秘策”に驚き

開店早々詰めかけるお年寄り客たち

 次の日のこと、開店したばかりの店舗に次々と高齢客が来店しました。お客様係のアルバイトスタッフが声がけすると、みな口をそろえて「Sさんはどこですか?Sさんからスマホを買いに来ました」と言ったそうです。 携帯ショップ「読みは当たっていました。来店した客は、昨日公園でSさんが相手していたお年寄りたちだったんです。ただ、今日はSさん遅番なのに、なぜ開店早々来店したのか不思議でしたが、たぶんこれも彼女のドジな部分なんでしょうか」  結局その日は午前中に何人もの高齢者が来店し、案内係が遅番であることを伝えたのにもかかわらず、気長にSさんを待っていました。しばらくして、遅番にしては早い時間にSさんは慌てて出社してきます。 「申し訳なさそうに私にあいさつにきたSさん。たぶん、客を待たせたことと、それよりも想定以上の年配客が来てしまったことへの戸惑いだったと思うのです。客が来ることは喜ばしいことなのですが、ドジな本人が必死にノルマをこなそうと必死な姿を見て、少しかわいそうに感じました」

お年寄りに気に入られるのも才能のひとつ

 日を改めてSさんにヒアリングをしたという菊地さん。 「予想通り、Sさんは空いた時間に公園へ出向き、スマホの営業をしていたそうです。単に勧誘するのではなく、世間話から入り、その後に正体を明かし営業トークに入っていたようです。また、購入後も丁寧に使い方などを個別に指導していたといいます。  彼女は自他共に認めるドジな人間ですが、そこに販売ノルマが加わってしまい、考えたあげく勤務時間外を使って営業していたのでしょう。これからは、Sさんだけではなく、スタッフの状況をもっと把握し、無理のない勤務状況にしなければと、強く思いました」  巷では、高齢者に必要のないオプションを契約させるショップが問題になっていますが、Sさんがそこまで無茶をしなかったことは幸いでした。お年寄りに気に入られる能力を認められて、Sさんには“シニアコンシェルジュ”という新たな役目が与えられたそうです。 <文/ベルクちゃん>
愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
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