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現役セクシー女優にも「同人AV」出演オファーが。“最悪のトラブル”の実態とは――大反響トップ10

反響の大きかった2023年の記事からジャンル別にトップ10を発表してきた。今回のジャンル分けには当てはまらなかったけど、まだまだある大人気だった記事を紹介する!(集計期間は2023年1月~10月まで。初公開2023年1月19日 記事は取材時の状況)  *  *  *  現役グラビアアイドルとして活動する筆者(吉沢さりぃ)のもとにTwitterのダイレクトメール(DM)から「同人AV」の出演オファーがあった。
出演オファー

実際の「同人AV」出演オファー

 同人AVとは、AV業界の健全化などに取り組む「AV人権倫理機構」の認証を受けず、個人または同人サークルが制作・販売するアダルトビデオのこと。  DMの内容は「ラブラブな感じ」で「1時間2本」の撮影、「ギャラ8万円」という提案だったが、筆者は「妙な額だな」と感じた。性行為をしているところを撮影して、下着は自前。おそらくメイクも自前。すぐにギャラがもらえるのはいいとしても、人前で性行為をして無期限に販売されるという内容に対して正当な額なんだろうか? と疑問に思った。
誹謗中傷

出演を断ると「デブが〜」と誹謗中傷を受けた

 そこで、DMのスクリーンショットをツイートしたところ、相手に引用ツイートされ「デブが〜」という誹謗中傷を受けた。とても残念な気持ちになったと同時に腹がたった。  出演オファーを断られたからといって、相手の容姿を見下した発言をするのはどうなのだろうか? 憤りを感じていたところ、現役セクシー女優として活躍する月島さくらさん(@sakuratsukisima)が引用リツイートでこうフォローしてくれたのだ。 「良い同人の人たちも確かにいるんだけど、こういう人がAVのイメージを下げてると思うんだよね。。グラドルさんに迷惑かけちゃダメだし暴言吐いちゃダメよ。。」 月島さくら そこで今回は、昨今の同人AVの台頭について、彼女に詳しい話を聞いてみることにした。月島さんによれば、AV新法の影響もあるという……。

月島さくらのもとにも同人AVのオファーが…

月島さくら

現役セクシー女優の月島さくらさん

「私にも“同人AVに出演しませんか?”というオファーがたまにきますよ」  現役の人気女優のもとにもそんなオファーがあるなんて驚きだ。 「全然きます。だいたい1本あたりギャラが10〜20万円で提示されます。同人AVの業者だけではなく、“個撮”(こさつ)のお誘いも多いです」  個撮は“個人撮影”の略。そのオファーは販売目的ではなく、謝礼を支払って月島さんの性行為中の動画を撮影するというもの。 「個撮とはいっていますが、これは個人売春ですよね。勘違いしている人も多いと思いますが、個人売春は犯罪です。同人AVは販売するので商いの扱い。どちらも私が出演している普通のAV(適正AV)とは全く違います」  適正AVとは、AV人権倫理機構が提唱する「女優の人権に配慮した過程を経て制作され、正規の審査団体の審査を受けたAV作品」のことだという。 「AVというだけでひとくくりにされてしまって、適正AVも同人AVも同じだと思っている人が多い。悲しいけど、適正AVのことはあまり知られてない現状があります」

「AV女優になりたい!」と思っても約半年は無職・無収入に

月島さくら

YouTuber・ヒカル氏のチャンネルでAV新法の現状を訴えた月島さん

 月島さんは女優としての活動だけではなく、「AV新法」のロビー活動も積極的に行っている。この法案が可決されたことで金銭的に困窮してしまった女性が同人AVや個撮に流れてしまっている可能性が高いのではないかと指摘する。 「AV新法とは、“AV出演の契約をめぐる被害防止と救済に関する新たな法案”のことなんですが……実際は、救済というよりも苦しめられている人が多いんです。  たとえば、以前は『AV女優になりたい!』と思って事務所の面接に行くと、そこで契約について一通り説明を受けて、1週間の考え直す時間を与えられます。そして決意が固まったら、宣材写真を撮影。それをAVメーカーに見てもらって会議にかけられます。それでOKが出たら、やっとメーカーに行って面接、お互い合意すれば撮影という流れでした。  しかしAV新法が可決されてしまってからは、ここからさらに撮影までに1ヶ月をあけなければならない。そして、いざ撮影をしても、発売はその4ヶ月後なんです」  つまり「AV女優になりたい!」と思ってから順調にいっても、AV女優になれるのは約半年後。もちろんその間は無職となり、無収入になってしまうのだ。 「事務所の面接の時点でAV女優になるメリット・デメリット、デビューから引退まで、AV女優の辞め方や出演作の削除・販売停止の方法まで説明されます。メーカーの面接では『誰かに出演を強要されていないか?』『AVだと理解しているか?』『絶対に顔バレはするが問題ないか?』ということまで聞かれます。どちらもちゃんと録画もしています。  もともと、ここまで徹底していたので、さらに発売まで期間をあけるのは、女優だけでなく、制作スタッフにも負担がかかる。発売まで給料が支払われませんから」  実際に月島さんもAV新法が可決されたことで何本かの仕事を失い、引っ越しを余儀なくされてしまったそうだ。 「ほかに仕事をしているとか貯金があればなんとかなるかもしれませんが、それでも仕事がスタートしてギャラが発生するまでに半年かかってしまうとなると、『即金でもらえる同人AVの方がいい!』という考えに至ってしまう人の気持ちもわからなくはないです」  同人AVは撮影をしたあとに、すぐお金を得ることができるという。AV新法が可決されてから、同人AVの業者は増え続け、そして儲かってしまっているという皮肉な現実があるのだとか。
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同人AVでは最悪のトラブルも発生
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ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。X(旧Twitter):@sally_y0720

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