「警察官になりすまし被害者宅へ…」闇バイトで逮捕された27歳男性の告白
SNSやインターネット掲示板などで、短時間で高収入が得られるなどと甘い言葉で勧誘してくる「闇バイト」。誘い文句が巧妙化するなか、10~20代が気づかずに応募し、犯罪に手を染めている。そんななか、罪に問われた人や依存症者などの回復やサポートをおこなう一般財団法人ワンネス財団が検挙・逮捕された人たちの受け入れをはじめた。
本記事では闇バイトのリアルに迫るため、ワンネス財団の回復施設に入所し、社会復帰を目指すAさん(男性・27歳)。そして、警視庁の人身安全・少年課に、検挙した被疑者が受け子などとなった経緯、闇バイトの募集の傾向について話を聞いた。
「ギャンブル依存症みたいになって、自分では止められませんでした。そんなとき、スカウトとして働いていた風俗店の先輩に特殊詐欺のリクルーターの仕事を紹介してもらい、はじめた感じです」
さらにスタッフとして働いていた“夜の店”がコロナ禍で倒産。寮に入っていたAさんは、住む場所と収入を同時に失うこととなり、お店の先輩に「仕事を紹介してほしい」と相談。受け出し子(受け子と出し子)の仕事を紹介してもらい、3件分を実行している。
「いろいろな人に片っ端から電話をかける“掛け子”が上からの指示を受け、ケースによって違う内容で騙します。掛け子が話した内容については、自分たち受け子と出し子にはわかりません。キャッシュカードのパスワードを聞き出す役割やタイミングもケースによって違います。自分ら受け子と出し子は、上から支持されるまま騙した家に訪問。警察官になりすまし、『最近は、デジタルの警察手帳を持っているんです』とウソの説明をし、指示役が作ったデジタルの警察手帳を見せて、『キャッシュカードを受け取りに来ました』と、キャッシュカードを受け取ります」
キャッシュカードは、目の前でICチップがないところをまっぷたつにハサミで切るなどして“完全に使えない状態”だと嘘をつき、「証拠品として裁判所に持って行きます」と伝えて立ち去る。この一連の流れ、時間にすると5分ほど。
3件の受け出し子を実行後、志願者の面接も Aさん(男性・27歳)のケース
現金・カードなどを受け取る“受け子”やATMからお金を引き出す“出し子”などの闇バイトにかかわってきたというAさん。2021年の東京オリンピックに外国人向けの大麻栽培計画に誘われ、資金調達中の同年3月に捕まっている。 「両親は共働きで家を空けることが多く、歳の離れた兄が面倒をみてくれました。いつも甘やかしてくれる、やさしくて真面目な兄。いま考えると、そんな状況に甘えていたと思います。16~17歳になると実家を飛び出し、一人暮らしをはじめました」 生活費を稼ぐためにスカウトの仕事を開始すると、女性に夜の仕事を紹介していたほか、闇金業者として活動していた時期もある。稼いだお金は、競艇に消え、1回につき10万~30万円ものお金を賭けるのが日常だったという。住む場所と収入を同時に失う
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意
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