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「渋谷と池袋」、ハロウィンで別れる明暗…なぜ池袋は「行政側が積極的」なのか

当初は地元を活気づけるはずのイベントだったのに…

そうした流れを受けての2023年。10月31日のニュースを見てみよう。「31日のハロウィン本番を迎えた東京・渋谷に、仮装して現れた人はまばらだった。渋谷区は「渋谷に来ないで」と強く呼びかけ、シンボルの「ハチ公」を“封印”し、警視庁は雑踏事故などを防止するため、機動隊員を動員」と産経新聞は報道している。 とうとう渋谷区がハロウィンの日にハチ公を封鎖し、ハロウィンの日に集まる若者たちを抑制しようとするまでになったのである。本来は、商店街が地元を活気づけようとして始めたハロウィンが、町おこしではなく、むしろ地域住民の安心で安全な生活を阻害する要因として批判の槍玉にあげられるようになったのだ。コスプレに対する地元住民の目線が厳しいものであることは想像に難くない。

「行政側が積極的」な池袋のハロウィン

一方、池袋はどうか。池袋でのハロウィンイベントは2023年で10年目を迎えた。徐々にその歴史が醸成されつつあるが、現在のところ、渋谷で見られたような行政との対立は起こっていない。むしろ、行政側も積極的にコスプレイベントをまちづくりの一環として受け入れ、積極的にハロウィンを含めたコスプレイベントを行っているようにさえ見える。 実際、2023年の「池袋ハロウィンコスプレイベント2023」のホームページを見ると、その共催には「豊島区 」「 豊島区商店街連合会 」、「 一般社団法人豊島区観光協会 」などが名前を連ねており、行政とタッグを組んでハロウィンにおけるコスプレイベントが実施されている様子がわかる。   池袋におけるコスプレイヤーのマナーの良さは(渋谷の場合と相対的に比較して、という意味も大きいのかもしれないが)、しばしば語られるところである。こうした参加者の態度が行政の積極的な協力を取り付けることにつながったのだろう。
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渋谷は「1年に1回」だが、池袋は…
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ライター・作家。チェーンストアやテーマパークをテーマにした原稿を数多く執筆。一見平板に見える現代の都市空間について、独自の切り口で語る。「東洋経済オンライン」などで執筆中、文芸誌などにも多く寄稿をおこなう。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社)『ブックオフから考える』(青弓社)
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