ニュース

「渋谷と池袋」、ハロウィンで別れる明暗…なぜ池袋は「行政側が積極的」なのか

新宿・渋谷と並ぶ副都心の一つ、「池袋」。近年では再開発も進み、「住みたい街ランキング」の上位に位置するなど大きな変貌を遂げている。しかし池袋について書かれたものは意外と少ないはずだ。この連載では、そんな池袋を多角的な視点から紐解いていきたい。
池袋

yu_photo – stock.adobe.com

池袋と渋谷の“コスプレ事情”を比べてみる

前回までは池袋と三島由紀夫の関係性について見てきた。その中で見えてきたのは、「コスプレの街」としての池袋の姿だ。2023年12月15日に豊島区がふるさと納税の返礼品として「コスプレ体験」を提供するというニュースが報じられた。行政も一丸となってコスプレの街としての池袋を押し出していることがわかる。しかし、なぜ池袋はコスプレの街となったのだろうか。今回からは、「コスプレと池袋」というテーマについて、他の街との比較などを踏まえながら考えてみよう。 まず考察したいのは、池袋と同じくコスプレで有名な街である「渋谷」との比較である。特に日本におけるコスプレの中心的なイベントとなる「ハロウィン」に注目してその2つの街におけるコスプレについて迫っていこう。 日本でコスプレが本格的に流行したのは1970年代以降だといわれる。特に、1995年に放映され大人気となった『新世紀エヴァンゲリヲン』の人気も相まって日本にコスプレ文化が根付いていく。とはいえ、その時点ではコスプレ文化は「オタク」の趣味として捉えられることが多く、一般的なものではなかった。

徐々にエスカレートしていった渋谷のハロウィン

日本でコスプレ文化が一般に浸透していくときに大きな役割を果たしたのが「ハロウィン」だろう。今ではハロウィンの時期が近づくと、多くの小売店でコスプレグッズが売られるようになった。 日本でのハロウィンといえば、渋谷のことを思い浮かべる人も多いと思う。ITジャーナリストの篠原修司がYahoo!で公開した記事によれば、渋谷でハロウィンが初めて行われた記録は1987年に遡ることができるという。 最初は地元商店街の人々の立案で生まれたイベントであるが、徐々にそれが大きくなり、毎年10月31日のハロウィンの日には大勢の若者たちが渋谷に大挙するまでになった。大勢集まった若者たちは多くのトラブルを引き起こした。大量にゴミがポイ捨てされるようなことは序の口で、2018年には集まった若者たちがトラックを横転させるという事故も発生。人命が危険にさらされるほどの問題が発生するようになってしまう。
次のページ
「行政側が積極的」な池袋のハロウィン
1
2
3
ライター・作家。チェーンストアやテーマパークをテーマにした原稿を数多く執筆。一見平板に見える現代の都市空間について、独自の切り口で語る。「東洋経済オンライン」などで執筆中、文芸誌などにも多く寄稿をおこなう。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社)『ブックオフから考える』(青弓社)
記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ