2024年春“大人が選ぶべき”白と黒のスニーカー5選
こんにちは、シューフィッターこまつです。靴の設計、リペア、フィッティングの経験と知識を生かし、革靴からスニーカーまで、知られざる靴のイロハをみなさまにお伝えしていこうと思います。
靴メーカーやショップの多くは、2月を皮切りに新作や春や夏用の靴を売りはじめます。スニーカーはとくに回転が速く、定番と呼ばれるものであっても在庫リスクを避けるために店頭からタマ数が減っています。そこで今回は個人的に「大人にこそ似合うスニーカー」を挙げていきます。
大人が履くスニーカーで大事なことはまず色の選び方です。街着としての普段使いするのであれば白の単色、仕事でも履く可能性があるなら黒の単色がお勧めです。使われている色の数が混在していると服のコーディネートの難易度が上がり、子どもっぽくなるか、野暮ったくなります。最近のスニーカーは切り返しやパーツの多いものが流行っているので、気が付いたら足元が子供靴の「瞬足」になっていたということになりかねません。
白の単色で重要なのは素材です。天然革一択と言っていいでしょう。例えばニューバランスの「Made in UK 576 OW」が理想的。
天然革は実は汚れが落ちやすいという利点があります。天然革は表面の顔料加工のテクノロジーが格段に進んでいるので、ちょっとした汚れなら歯磨き粉と歯ブラシを使って容易に落とすことができます。ついでに底周りの汚れも意外に目立つので、歯磨きの要領でササッと落としましょう。いちいち靴クリームを使う必要がないので、実はほかの色より白のほうがメンテナンスはラクです。車を運転したときの油汚れなども今はスニーカーシャンプーの質が上がっているので簡単に落ちるようになっています。白スニーカーにとって清潔感は命ですから、手入れは怠らないようにしましょう。
一方、合成皮革のほうが汚れは落ちにくい。なぜかというと合成皮革は表面の樹脂と油の化学反応で汚れが落ちにくく、つま先をぶつけたときの摩擦熱で生じるキズや汚れも落ちません。案外、見落としがちなので注意が必要なのです。とくにアディダス「スタンスミス」の廉価版、ABCマートオリジナルあたりが合皮の代表なのでよくよく確認しましょう。
白レザーのスニーカーといえばナイキのエアフォース1あたりを想像しますが、若者な感じがぬぐえません。そこで個人的なおすすめはアシックスの「GEL-PTG」です。
ナイキの「エアフォース1」とほぼ同時期の1983年に発売され、数年前まで現役のバスケット選手にガチ試合で愛用されていました。「スラムダンク」にも登場しています。一線は退きましたが、ルックスはそのままで表面の革をより実用的な牛革にアップデート。ヒールには現役当時は採用されなかったGELも搭載しているので、アスファルトの上でも衝撃をほぼ感じません。
本来バッシュは止まるための動作を目的に作られているので、歩行には向きませんが、このモデルは別です。復刻の際にタウンユース向けに随所が改造され、摩耗にも強く歩行にも向いています。なによりツラの皮が厚い……というか、素材の牛革がとにかくタフで汚れも落としやすい。凹凸の細かいシボ革を全面に使用しているので、オーラがまったく異なります。これぞまさに大人にしか似合わないバッシュと言っていいでしょう。
今アシックスは世界的にもファッションシューズとしての地位を確立していて、学校の指定靴だったころの昭和のイメージはありません。ファッションのみならず、肝心の履き心地もシューフィッターの眼を通しても、「①かかとの容赦ない絞り②くるぶし周りのバランスの正確さ③曲がるべきところで曲がる仕様」のあたりは外国メーカーにはなかなかマネできないレベルなので、世界中で人気が爆発しているのも頷けます。
白スニーカーは必ず天然革をチョイス
「脱ナイキ」なら迷わずアシックス
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こまつ(本名・佐藤靖青〈さとうせいしょう〉)。イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『シューフィッターこまつ 足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます。「毎日靴ブログ@こまつ」
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