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2024年春“大人が選ぶべき”白と黒のスニーカー5選

黒スニーカーはまずドレスライクなものを

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パトリック「マラレイン」。2万3100円。写真は公式HPより

黒は簡単に見えて意外と難しいスニーカーです。服との相性で言えば、視覚的に重く感じやすいので、ぼってりしたシルエットを選ぶとリタイアしたおじいちゃんを想起させます。そこで、なるべく革靴に近いすっきりしたドレスライクなシルエットを選ぶのがコツです。その代表がパトリックの「マラレイン」。 フランスのメーカーだけあって、シルエットは本当に美しい。シルエットだけではなく、70年代に販売されたときにガチのマラソンシューズだったので、履き心地は推して知るべしでしょう。さらにこのモデルは雨でも問題のないスコッチガードを使用した天然革です。味も出るうえに超実用的。なんと紐にまで撥水加工を施している徹底ぶりなので、スポーツショップのみならず、大手百貨店やアパレルショップでも常に引っ張りだこです。 細身のシルエットではありますが、足幅に一番個人差の出る部分には余計なパーツがないので、華奢な足でも幅広足でもどちらにも不思議にフィットします。「伸びる」のではなく、「馴染む」。これが天然革の良さです。クリームで磨けば味も出るし、ヒールが削れてもリペアも簡単。フランス発祥ですが、生産はメイドインジャパンで品質にもそつがなく、街着でもビジネスでも長く付き合える1足です。

ビジネスシーンでもスニーカー寄りがおしゃれ

ビジネスシーンであっても、世界的にはスニーカー寄りデザインの流れが止まりません。ジョン・ロブ、チャーチなどの英国本格革靴の見本のような名だたるメーカーのほとんどがスニーカーを作り始めていて、実際に売れています。しかしいきなり10万円も出せないという方にお勧めなのがコールハーン。ここもかつては「アメリカの頑固靴!」のようなザ・クラシックな革靴メーカーだったのですが、一時期ナイキの傘下に置かれてからは完全にスニーカーづくりのセンスと技術をモノにしました。
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コールハーン「グランドプロ アッシュランド」。2万7500円。写真は公式HPより

主力商品の「グランドプロ」シリーズも主力ラインは3万円前後と、手が出しやすくハズレもありません。百貨店や紳士靴のショップをざっと見渡しても、ほとんどすべてのメーカーのレザースニーカーは必ずと言っていいほどコールハーンの影響を受けています。中にはオマージュを通り越している廉価製品もちらほら。2024年の革靴業界・靴のファッション業界も確実にコールハーンが核になるでしょう。
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コールハーン「エナジーメリッド」。1万7600円。写真は楽天販売サイトより

靴販売最大手のABCマートは公式にコールハーンの廉価ラインを去年から展開していて、お値段はさらに控えめでコスパは抜群です。コールハーンの直営店で3万円に近かったモデルが、定価で1万7600円。テクノロジーとしてはたしかに1年遅れのおさがりではありますが、十分に最先端です。10年ほど前のナイキの「ルナ・テクノロジー」を生かした弾むようなソールに、クラシックなアッパー、そして素材は天然革。ソールまで真っ黒だと視覚的に重くなるので、アクセントとしての白ソールも効いています。 スニーカーは機能とブランドだけで選ぶ時代はもう終わりました。機能だけでは部活スニーカーのような「ザ・運動靴」になるし、かといって革靴寄りでも「リタイアしたおじいちゃんの旅行靴」になりかねません。スニーカーと革靴のボーダーは今後、加速度的になくなっていくので、見た目も履き心地も「少しいいもの」を選びましょう。
こまつ(本名・佐藤靖青〈さとうせいしょう〉)。イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『シューフィッターこまつ 足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます。「毎日靴ブログ@こまつ
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