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「“怖そうだけど、実は良い人”なんて思わないほうがいい」被災地に集まる犯罪者の“悪辣な手口”

元日に起きた能登半島地震から3週間がたつが、被災地の北陸各県では窃盗や詐欺、悪徳商法が急増しているという。ハゲタカのように被災地に集う犯罪者たちの思惑と手口とは。最新事情を追った。

過去の震災での“成功体験”を流用するワルたちの手口

能登半島地震

避難所にいる間に家財道具が盗まれる被害も多発し、不安が広がっている

警察庁は1月15日までに、被災した住宅での空き巣や避難所での置引などの犯罪が22件起きていると発表。松村祥史・国家公安委員長は約100台の防犯カメラを避難所や街頭に新たに設置する方針を明かした。 被災地では、すでに悪いヤツらが集まり始めている。 「今回も暴力団がすでに不足物資を買い集め、現地に送り込む人材も用意しているよ」 そう語るのは、山口組系組織元幹部のA氏(60代)。 「震災時には、暴力団ほど動きが早い組織もない。特に山口組は全国、世界中にネットワークがあり、これまでの震災時も大きな利益を得た。彼らが欲しいのは巨額マネーが動く“復興利権”だから」 たとえば大震災時に必ず不足するのが、仮設住宅用の建材や建設作業員だ。 「阪神・淡路大震災のときは、山口組の組織がすぐに組員を東南アジアに送り、住宅建材用のために山ごと森林を買い取ったなんて話もある。東日本大震災のときは瓦礫撤去などの重機や建設作業員が不足したから、暴力団がプロデューサーとなってそれらを被災地に送り込んだ。警察も自治体もゼネコンも、暴力団が背後にいるのは承知の上だよ」 現在、暴対法により暴力団の介入は厳しいが……。 「だから事実上、傘下にあるような不良グループを使ってボランティアに行かせたり、企業舎弟の建設会社に支援物資を運ばせたり、まずは被災地支援を徹底的にやることで現地に入り込んでさまざまな工作を行っているんだよ」

「『怖そうだけど、実は良い人』だなんて思わないほうがいい」

「もうすでに窃盗団が現地入りしている」と話すのは、某半グレグループのB氏(40代)。東日本大震災でもボランティアチームを装い、瓦礫の片付けや炊き出しをしながら窃盗などの犯罪に手を染めた“実績”のある彼は次のように話す。 「県外ナンバーの軽トラでウロウロしていると住人に怪しまれる。実際、そんな輩が大勢いた。そこでボランティア団体名を書いた旗を車に張りつけて現地を動き回るんです。人を外見で判断すべきではないけど、被災者にはこういうヤツらに十分気をつけろと言いたい。実際に俺たちの半数は入れ墨を入れ、前科者も多く見た目どおりでした。『怖そうだけど、実は良い人』だなんて思わないほうがいい」 具体的なやり口は? 「昼間に復興作業を手伝いながら下調べをする。個人宅を狙うのはコスパが悪すぎるので、建設用の金属資材や工具、重機、放置されている車やバイク、あとは自動販売機や、ATMを中心に漁ります」
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お金が必要な被災者に「金貸し詐欺」
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