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中条あやみが思う家族団欒は「知らない人がうちのご飯を食べている」

4月19日から全国公開される映画『あまろっく』で、江口のりことW主演を務める中条あやみ。町工場を経営する65歳の近松竜太郎(笑福亭鶴瓶)と結婚し、リストラで無職になった39歳の娘・優子(江口のりこ)を持つことになる20歳の女性・早希を演じている。 中条あやみドラマやファッションショーなどで見せるクールな表情とは打って変わって、兵庫県・尼崎を舞台にした本作では大阪生まれの彼女らしい、朗らかで屈託のない笑顔が自然で印象的だ。

「個性が強い家族」に共感する部分も

――今回の作品で中条さんが感じた近松家の魅力を教えて下さい。 中条 「本当にそんな家族って成り立つのだろうか?」と感じるような一見ファンタジーな家族設定ですよね。ただ、この物語を演じるにあたって自分自身が違和感を持ってしまうとリアルではなくなってしまうなと。変な話、それが普通なんだと言い聞かせて演じました。とは言え、私自身も父がイギリス人だったり、姉とひと回り離れていたり、“普通”とはまたちょっと違う、個性が強い家族なので、近いというか共感できる部分もありました。 でも、なにより鶴瓶さん、江口さんと一緒にいることでこの物語をリアルに演じられたと思うし、この二人じゃないと出来なかった作品だと思います。
あまろっく

左から、中条あやみ演じる早希と、結婚相手である町工場を経営する65歳の近松竜太郎(笑福亭鶴瓶)、リストラで無職になった39歳の娘・優子(江口のりこ) ©2024 映画「あまろっく」製作委員会

――関西出身の中条さんにとって、リアルという部分では全編、尼崎での撮影というのも大きかったのではないですか。 中条 はい。近松家のシーンは街中の一軒家をお借りして撮影したんですが、撮影でも使わせていただいた家の近くの喫茶店に、お昼になったらみんなでご飯を食べに行ったりしてました。ほかにも休憩時間に鶴瓶さんが声をかけて近くの神社に散歩に行ったりして。そうやって街を探索していたので、その街に生きている感じがしました。 ――うまく言葉で表せませんが、関西って独特の“空気”がありますよね。 中条 東京とは全然違います。ひと昔前の……それこそ近所のおっちゃんが子どもを育てるじゃないけど、街全体が子どもを見守って育てる感覚みたいなものが、より強いなって思います。それは大阪に帰るたびに感じますね。人との距離はちょっと近いなって。

自分で人生を楽しい方に変えていきたい

――劇中で竜太郎が言う「人生に起こることは何でも楽しまな!」という言葉についてはどう思いますか。 中条 竜太郎さんのこの言葉の裏には阪神・淡路大震災(1995年)での経験があるのですが、自分が生き残ったからには……というところから出てきたと思うんです。 私は震災の後に関西で生まれているので(1997年)そこまでの経験はないですけど、生きていく上で大変なことって誰にでもあると思っていて。壁にぶつかったり、越えられないと思う場面が訪れたり……。震災のような大きな出来事はまた別ですが、でも、そこで誰かのせいにしても、ずっと正解はないと思うんです。 ――自分の考えにいつまでも縛られてしまいますよね。 中条 そう。たとえば誰かに傷つけられたとして、相手に謝って欲しいわけでも、同じ気持ちになって欲しいわけでもないんですよね。誰かに期待しすぎるのではなく、自分で人生を楽しい方に変えていかないといけないな、って最近すごく感じます。「楽しまな」というのもありますけど、「楽しい方に変えていかないと」という気持ちのほうが私の中ではあります。
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株式会社ラーニャ代表取締役。ドラマや映画の執筆を行うライター。Twitter⇒@Yuichitter

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