更新日:2019年08月07日 16:09
エンタメ

ヤンキーはモテる? 余命1年“期間限定”の恋の物語――映画『雪の華』

―[モテる映画工学]―
~藤沢数希のモテる映画工学『雪の華』~
雪の華

©2019 映画「雪の華」製作委員会

余命1年──。“期間限定”の恋を持ちかけるちょっと変わったラブストーリー

 小さい頃から病弱だった美雪は、「余命1年」を宣告されてしまう。それでも精いっぱい生きようと頑張っていた。追い打ちをかけるように、ある日、美雪はひったくりに遭ってしまう。バッグを奪われ、呆然とする美雪。そこに悠輔が現れ、ひったくりを捕まえてくれた。  彼は両親を早くに失い、ガラス工芸家を目指しながらもカフェで働き、弟たちを養っていた。そんな彼に美雪はどんどん引かれていく。そして、悠輔の店が100万円の借金を返せなくなり店を畳もうとしたとき、美雪が名乗り出るのだった。「私が出します、100万円。その代わり1か月、私の恋人になってください」――。  最近、女子大生なんかがお金をもらって金持ちのおっさんと「交際」するパパ活がはやっているが、金持ちの女がイケメン男子にカネを渡すママ活もあるという。そしてこの映画は、そういう意味で世界一美しいママ活の物語なのだ。  東京の下町とフィンランドの大自然を舞台に、病弱な美少女と、貧しいながらもたくましく生きる悠輔とのちょっと変わった、ピュアで切ない大恋愛が繰り広げられる。  恋愛工学的にも悠輔の振る舞いには学ぶことがたくさんある。そう、彼はヤンキーなのだ。ヤンキーの振る舞いはモテるのである。ひったくりに遭って呆然としている美雪のバッグを取り返し、彼は言う。「お前なぁ、助けてとか返してとか、声に出さねぇとわかんねぇだろ!」。  普通の男ならこんな美少女を前に大チャンス到来とばかりに、連絡先聞こうとかしてキョドるところが、堂々のヤンキーっぷりだ。初対面であっても「お前なぁ」ぐらい言えるように頑張ろう。
物理学研究者、投資銀行クオンツ・トレーダー職等を経て、作家・投資家。香港在住。著書に『外資系金融の終わり』『僕は愛を証明しようと思う』『コスパで考える学歴攻略法』などがある
雪の華
配給/ワーナー・ブラザース映画 監督/橋本光二郎 脚本/岡田惠和 
出演/登坂広臣 中条あやみ 高岡早紀ほか 2月1日公開
©2019 映画「雪の華」製作委員会
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