お金

ドンキの新業態「ドミセ」、なぜ渋谷から異例の早さで撤退?Z世代向け「キラキラドンキ」との明暗

海外ドンキでも看板商品に

ドンキホーテ

「あんだく溺れ天津飯」「厚切りロースのピラミッ丼」など一癖二癖ある商品ラインナップが特徴の「偏愛めし」だが、製造元はエキナカ・デパ地下での営業や大手コンビニ弁当惣菜の製造受託実績も豊富なカネ美食品だ(写真:淡川雄太)

 また、ドンキは2017年12月より中華圏・東南アジア圏を中心に日本商品特化型業態「DONDON DONKI」や情熱価格特化型業態「JONETZ」を展開しており、国外においても情熱価格はグループの看板として役割を担っている。  両業態では国内販路向け商品に加えて、前面に「日本の魅力発見 DISCOVER CHARMS OF JAPAN」「日本製 MADE IN JAPAN」「DESIGND IN JAPAN」を打ち出した海外販路向け商品や店内厨房製造による弁当・惣菜を情熱価格を冠し展開。あわせて、現地企業や現地銘店との協業により、国内販路同等のグレードの高い商品を展開するなど、既存日系流通企業や日本商品専門店との差別化に寄与している。  なかでも台湾各店では強烈なインパクトを与える画風を得意とする漫画家「漫☆画太郎」とのコラボによるスナック菓子、台湾1号店の西門店では台北市西門徒歩区街区発展促進会の西門動漫大使「林默娘」とのコラボによるポップコーンを販売するなど、地域法人単位にとどまらず店舗単位で独自商品を取扱っている。
ドンキホーテ

DONDON DONKI西門店の入口。シンボリックなドンペンも(写真:淡川雄太)

ドンキホーテ

台湾で販売されている情熱価格や現地法人独自商品。現地のトレンドや土産需要を意識した品揃えが特徴だ(写真:淡川雄太)

訪日外国人には違和感ない組み合わせ?

 これらの取組みもあり、筆者による現地在住者への取材では「2022年1月に台北西門町に1号店がオープンしたときに知った」「深夜営業や日本から輸入した商品、売れ筋ランキングや人気商品を宣伝する看板(POP)のイメージ」(新竹市在住)、「ドンキは行ったことないが高校時代(2017年ごろ)に知った。 「地元嘉義市にあるDAISO百貨(ダイソー)とイメージが似ている」(台南市在住)とドンキ非出店地域での認知度も一定数あり、夜貓族(夜型人間)が多い現地の生活様式との相性も相まって店舗網は一貫して拡大を続けている。  ドンキの海外業態「DONDON DONKI」は現地の高級商業施設や日式・日系百貨店(旧高雄大立伊勢丹・バンコクMBK東急百貨店跡など)の中核店舗として出店しており、道玄坂通の施設イメージとも重なる点は多い。訪日外国人観光客にとって道玄坂通とドミセの組合せは決して違和感のない、普通の組合せだったのだ。  
ドンキホーテ

DONDON DONKI台中タイガーシティ店。県市合併や積極的な都市開発事業を背景に台湾第2の都市に躍り出た台中市の新都心を代表する大型店のひとつ。外資系ブランド中心の高級商業施設だ(写真:淡川雄太)

次のページ
小型店も得意だが新業態は明暗も?
1
2
3
4
5
都市商業研究所』。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitter:@toshouken

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ