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大阪王将「ナメクジ大量発生」投稿事件。“話題の告発者”から“被告人”になったワケ

内部告発者は保護されないのか

大阪王将

東京都内の「大阪王将」の店舗(被害店舗とは異なる)/筆者撮影

 今回は、「偽計業務妨害罪」での起訴。同罪は、人を欺く内容の「偽計」を用いて、業務を妨害する行為を成立要件としている。確かに、一連の投稿には証拠写真付きのものもあるが、そこに写っているナメクジは1匹ほど。検察側は、「大量にいる」と誇張して投稿した点が「偽計」に当たり、その嘘を利用してフランチャイズ契約の解除に至らせて金銭的な損害を与えたと判断して公判請求をした。  では、告発者は保護されることはないのだろうか。  被告人を擁護する声の中には、「公益通報者保護制度」を指摘するものも多数存在している。「公益通報」とは、事業者の法令違反行為を知った従業員が組織内の通報窓口や行政機関などに通報することであり、通報者に対しては解雇や減給、損害賠償請求などの不利益な取扱いを禁止する制度である。  ただし、被告人は保護対象外なのだ。被告人の告発の動機は「店舗側に対する腹いせ」と認められ、悪意がある。そして、「公益通報」の要件として、通報先は「事業者内部」や「権限を有する行政機関」などと定められているが、被告人はSNSに投稿して不特定多数に晒してしまった。

その後の調査では「ナメクジなどは未発見」という結果だったが…

 本件投稿後に実施された市保健所の立ち入り調査では、“ナメクジ”などは未発見という結果となっていた。ただ、同調査は抜き打ちではなく、被告人の投稿には同調査に向けて隠ぺい工作を指摘するものも見受けられる。  “話題の告発者”から一変、“被告人”となった男。次回の公判は6月5日、検察側による追起訴審理が予定されている。 取材・文/学生傍聴人
2002年生まれ、都内某私立大に在籍中の現役学生。趣味は御神輿を担ぐこと。高校生の頃から裁判傍聴にハマり、傍聴歴6年、傍聴総数900件以上。有名事件から万引き事件、民事裁判など幅広く傍聴する雑食系マニア。その他、裁判記録の閲覧や行政文書の開示請求も行っている。
X(旧ツイッター):@Gakuse_Bocho
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