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対照的なヤマダとケーズ。“斜陽産業”家電量販店で分かれた明暗――大反響・総合トップ10

顧客満足度を高めるために「従業員にやさしく」

 ケーズホールディングスも、ヤマダとほぼ同じタイミングで家電量販店を展開しました。ヤマダ、ケーズ、コジマは“北関東YKK”という括りで呼ばれることがあります。これは北関東に本社を置く3社が、苛烈な価格競争を繰り広げていたためです。  ケーズは「がんばらない経営」という方針を掲げているのが最大の特徴。これは無理をすれば必ずその反動があり、経営に何らかの歪みが生じるというものです。顧客第一主義を貫くためには、社員、取引先、顧客の順番で考えるのが重要としているのもユニークな点です。  この視点は出店戦略にも生かされています。ケーズはコンスタントに毎期20店舗程度出店していますが、これは従業員が店長に昇進することをモチベーションにしてほしいとの想いが込められています。  新規出店を重ねることは、必ずしも増益が保証されるわけではありません。会社が出店リスクを背負ってでも、従業員に対して働きやすい環境を整えることが、結果として顧客満足度の向上に繋がると考えているのです。

“かつてのスタイル”で堅調に推移

ケーズデンキ

ケーズホールディングス業績 ※決算短信より筆者作成

 ケーズの売上高は堅調に推移しています。2023年3月期は、家電特需が生じた2011年3月期と売上高はほぼ同じ水準でした。  家電専門店に特化した店舗展開を行っており、新規出店によるシェア拡大を狙っている会社です。現金値引きに固執するなど、かつての家電量販店のスタイルを守っています。
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総合店の新規出店や業態転換を行うも…
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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