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対照的なヤマダとケーズ。“斜陽産業”家電量販店で分かれた明暗――大反響・総合トップ10

家電部門の営業利益率が「最も低い」

 2社の違いは営業利益率の違いによく表れています。ヤマダは2019年3月期から2023年3月期まで、一度も営業利益率でケーズを上回ることができていません。
ヤマダ ケーズ

両社の営業利益率 ※決算短信より筆者作成

 2023年3月期はケーズが1.3ポイント上回っています。ヤマダの事業別営業利益率を見てみましょう。家電部門の利益率は2.4%で、他の部門の中で最も低くなっています。
ヤマダ電機

ヤマダホールディングス事業別利益率 ※決算説明資料より

 利益率の低さは、決して他の部門が邪魔をしているわけではないのです。

総合店の新規出店や業態転換を行うも…

 ヤマダは2023年3月期に家具や家電、生活雑貨などを販売する複合店「LIFE SELECT」を新規で4店舗出店し、8店舗の業態転換を行いました。それにもかかわらず、この期の家電部門の売上高は前期比2.1%減の1兆3108億円となりました。まさかの減収に見舞われたのです。  ヤマダの家電部門の販管費率は26.6%。ケーズは24.1%でした。営業利益率に差が生じている主要因の一つが、ヤマダの家電部門の売上高が伸びきらないことによる販管費負担増。  ヤマダはもともと、会社全体の売上高を前期比1.7%増の1兆6470億円と予想していましていましたが、計画より2.8%下振れて着地しています。「LIFE SELECT」の集客効果が、想定以上に出ていない様子が伝わってきます。
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現段階だとケーズが有利か?
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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