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男女のプレイ、進行に合わせて“同意と確認”が必要に? 新設された「不同意性交等罪」の要点を再チェック

救済に有効な不同意性交等罪を悪用するケースと対策

 不同意性交等罪が成立したことにより、日常的に暴力を受けているDV被害者や言動により精神的に追い詰められるモラハラ被害を受けている人はもちろん、以下のようなケースが背景にあって相手との性行為に悩んでいる人も以前より相談しやすくなった。 「恋人や夫婦であっても、稼ぎの違いなどから一方が経済的に大きく依存していたり、上司と部下など立場に大きな差がある状態で性行為を半ば強要されているような状況もあるでしょう。こういったケースでは、被害者が相手との関係性が崩れるのが怖くて明示的に拒否できず、加害者側が『相手も合意している』と思い込んで行為に及んでいることがほとんどです。不同意性交等罪は、このような場合でも成立する可能性があります」  つまりは不同意性交等罪が施行されたことにより、望まぬ性行為について相談しやすくなったというわけだ。ただ、こういった救済措置を利用して行為当時は問題のない行為だったにもかかわらず、事後的に「こちらは嫌だった」などと訴え、浮気や不倫をした相手に怒りを募らせ、犯罪者に仕立て上げようとするケースも散見されるという。

不同意性交等罪の成立が否定されるケースも

「中には、結婚相談所や出会い系アプリで相手の年収が嘘だったことを知り、不同意性交等罪で訴えようとするケースもあります。訴えがあった場合、当然反論も出てくるので不同意性交等罪が成立するかどうかは、2人がどのような関係だったのか2人が普段どのようなやり取りをしていたのか、特に行為前行為後どのようなやりとりをしていたのかを調べるなどして判断していくことになります。  たとえば、合意のない性行為があったと訴えているにもかかわらず、その後も普段と変わらず仲良くやりとりをしているケースや、相手の浮気や不倫など関係性が崩れる出来事が有った後に急に訴え出ているケースなどは、不同意性交等罪の成立が否定される典型例です。こういったケースが散見されるため、当然警察や裁判所も慎重になります。本当に不本意な性的関係を迫られた被害者に対しても、警察等が疑いの目を持ち何度も詳細に話を聞いた上で結局訴えを認めなかったなどの事態が起こってしまうのも、虚偽の訴えをする人が多いからなのです。不同意性交等罪を悪用して相手に復讐しようとしている人の行為は、訴えた相手の人生を理不尽に壊す行為であるのは当然として、本当に性被害を受けて苦しみ、救済してほしいと切に願っている人に対しての冒涜行為でもあるのです。  性行為に合意していたのに嘘をついて訴えたことが判明した場合、虚偽告訴罪等の刑事上の罪に問われることもありますし、多額の損害賠償義務を負う可能性もあります。いくら相手に浮気や不倫といった理不尽なことをされたとしても、年収や職業を偽られていたとしても、嘘で相手を訴えることは自分のためにも絶対にやめておきましょう」  また、理不尽に訴えられない対策としては、「すれ違いや性格の不一致などで普通に別れ、『相手を貶めてやろう』と考える人は少ないはず。しっかりコミュニケーションを取り、相手を思いやって過ごせば、それほどビクビクする必要はないようにも思います」とも続けた。
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恋人や夫婦でも不同意性交等罪…拒否され続けたら?
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フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意

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