男女のプレイ、進行に合わせて“同意と確認”が必要に? 新設された「不同意性交等罪」の要点を再チェック
いつもどおり恋人や夫婦と性行為をしただけなのに、あとから「こちらは嫌だった」などと言われ、訴えられたり逮捕されて5年以上の刑が科せられたりする可能性がある「不同意性交等罪」という法律が施行されたことはご存知だろうか。
決して他人事ではない「不同意性交等罪」。一体どのような法律で、どのような行為が当てはまるのか。また今回は、性行為を拒否され続けた場合や同性・未成年者同士の恋愛にはどのような影響を及ぼすのかを含め、渋谷青山刑事法律事務所に所属し、実際に「不同意性交等罪」の相談を数多く受けている弁護士、有原大介先生に話を聞いた。
昨年2023年6月16日に、さまざまな刑法案が成立。そのときに、「強制性交等罪」と「準強制性交等罪」という2つの犯罪が統合され、「不同意性交等罪」が新設され、同年7月13日に施行された。
「改正前でも、カップルであれ夫婦であれ、相手が嫌だと拒否しているのに無理やり行為に及んだ場合などは強制性交等罪で罰せられています。ただ、強制性交等罪が成立するためには、暴行や脅迫を用い、反抗の抑圧が認められなければならないなど厳しい条件がありました。
不同意性交等罪では、そういった要件が緩和され、暴行脅迫したり相手を心神喪失状態にしたりして行為に及ばなくても成立する可能性がある。これは、不本意な性行為を強要されたりした人が声を上げやすいように処罰対象を広げたということが根幹にあります。
また、これまでは“膣や肛門への男性器の挿入”があってはじめて強制性交等罪が成立していましたが、不同意性交等罪では “膣か肛門に身体の一部または物を挿入するわいせつな行為”も対象になりました」
ここまでの説明だと、自身や相手の性別を問わず、何かあったとき頼りになる法律という印象。だが、この法律により、恋人や夫婦との普段どおりの性行為でも「こちらは嫌だった」などと言われ、訴えられたり逮捕されたりする可能性も出てきたのだ。
不同意性交等罪が成立し、性行為の開始から、「キスをする」「性感帯を触る」など動作ごとに相手の合意を得るなどより慎重に行為をすすめなければならなくなった。相手の真意を読み誤って雰囲気や流れで進めてしまうと、男女問わず不同意性交等罪に該当する可能性もあるため気をつけてほしい。
「ただ、たとえ相手の合意があったとしても、不同意性交等罪に該当する可能性もあります。たとえば、自分や相手の年齢にも注意が必要です。これまでは、13歳以上18歳未満までの未成年者との性交などについて、各都道府県が青少年保護育成条例により性交同意年齢を決めていました。今回の改正で、年齢差が5歳以上ある13歳以上16歳未満と性交等をした場合には、相手の合意があるか無いかにかかわらず、不同意性交等罪が成立することになりました。逆にいえば、13歳以上16歳未満で年齢差が5歳以内の相手では、不同意性交等罪は成立しません。未成年者同士が恋愛したうえで性行為をした場合、不同意性交等罪の対象外です」
歳の離れた恋人は世の中にたくさんいるが、知り合った相手が16歳未満で5歳以上の年齢差がある場合、相手が16歳になるまではプラトニックなお付き合いが求められる。法律に疎い大学生が中高校生と純愛のうえ性行為をしたという場合でも、当然NGだ。
「これまで、家庭内でそういったことについて話すことは少なかったかもしれません。ただ、該当する年齢のお子様がいらっしゃる場合には不同意性交等罪という法律の内容について話しておくこと、そして幼少期からの性教育についても大切になってくると思います」
「不同意性交等罪」とは
年下パートナーとの性行為で逮捕の可能性も
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意
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