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電車内で倒れた女子高生を「全員が見て見ぬふり」彼女をおぶって助けた男性会社員の顛末

「持ち場を離れるわけには、いきませんので」

電車駅員に「車内に具合が悪そうな女性がいました」と話しかけると「改札階に医務室があるので、そちらへ行って下さい」と言われたという。 「会議の時間が迫っていたため、そろそろ職場に戻りたかったんです。だから『連れて行ってくれますか?』と頼みました」 すると「持ち場を離れるわけには、いきませんので!」と一蹴されたという。エレベーターの場所を尋ねるも、その駅には階段しかなかったのだとか。 「派遣スタッフのママさんが『ベビーカーを運ぶのを駅員が手伝ってくれない』と愚痴っているのを聞いたことがあります。その時は聞き流していましたが、確かにこれは困るな、と痛感しました」 結局、東也さんが彼女をおぶって、汗だくになりながら医務室まで運んだそうだ。 「会議にはもちろん遅刻しましたよ。命に代わるものはないと思ったので……でも悲しいことに、誰もがそう考えているわけではないんですね。あの時の無関心を思い出すと、今でもぞっとします」

個人の幸せが重要視される都会だが……

東也さんには、他にも「人気アイドルのコンサートで、酸欠で歩けなくなって廊下にうずくまっていたが、スタッフ含め誰も助けてくれなかった」という経験もある。 当たり前だが、人間はひとりでは生きていけない。個人の幸せが重要視されがちな都会だが、個も大切にしつつ、周りに気を配れる余裕も、少しは残しておきたいものである。 <文/綾部まと>
ライター、作家。主に金融や恋愛について執筆。メガバンク法人営業・経済メディアで働いた経験から、金融女子の観点で記事を寄稿。趣味はサウナ。X(旧Twitter):@yel_ranunculus、note:@happymother
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