水野家ルール「全員、一度は護身術を習う」
――特技に合気道と殺陣、ダンスとありますが、これも部活でやっていたのですか?
水野 いえ、合気道はうちのルールで「全員、一度は護身術を習う」というのがあって…。
――水野家のルール、ハードですね!?
水野 自分の身は自分で守れるようになれ、と。勝ち負けを争うわけではないところがいいなと思って、私は合気道にしました。一応、「いつ辞めてもいいよ」とは言われていたのですが(笑)、せっかくなら黒帯をとりたくて、小3から高3まで続け、無事黒帯になれたんです。やりきった!と思って、辞めました。
――有段者なんですね!
水野 今も人前では緊張してしまいますが、精神的な部分は合気道にとても鍛えられたと思います。殺陣とダンスは、女優のお仕事をしたいと思ってから、演技の幅を広げたくて習い始めました。
――夢に向かって着実にスキルを磨いた、と。
水野 焦りがあったんです。子供の頃から女優になりたいと思ってる子に比べたら、高校からやり始めた自分は経験値で負けちゃうなって…。活躍されている俳優さんたちは、子役出身の方も多いですよね。自分がやれることは全部やっておきたくて、高校の時から今もレッスンを続けています。
――演劇部には、水野さんのような子が多かったのですか?
水野 演劇コンクールの強豪校だったので、演劇部に入りたくて入学した子もいるくらいでした。私はそうじゃなかったのに、勝手に「部長になりたい!」と思うようになり、入部して1か月で顧問の先生に「どうやったら部長になれますか?」と聞きにいったんです。驚かれて「今の部長に何か不満があるの?」と言われてしまいました…。
――そう思うのも当然かと(笑)。
水野 不満なんか一切なくて! むしろ逆でした。当時の部長が演劇に命を懸けているような本当に熱い人で、役者も照明も何でもできて、その上勉強もスポーツもできる…マンガのように完璧で素敵な人だったんです。
その方に憧れて、どうしたら自分もそんな人になれるのかを聞いたつもりだったんです(笑)。2年生になって「やりたいって言ってたよね」と副部長に選んでいただき、3年で念願の部長になりました。
――人前に出るのが苦手で裏方志望だった水野さんを、そこまでキャラ変させるほど、演劇に魅了されたのですね。
水野 変わりたい…というか、ここでなら変われるかも?と思ったんです。初めて舞台に立って、幕が降りた瞬間の達成感が忘れられなかった。2か月、3か月とず〜っと練習してきたのに、舞台の上の時間は一瞬で終わってしまう。
一瞬なのになんでこんなに達成感があるんだろう?と理由を考えたら、自分がすごく真剣になってるからなんだなと。私、演じるのが好きなんだなと分かりました。部活のみんなや顧問の先生にもたくさん支えていただいて、全力で演劇に熱中できた幸せな3年間でした。