109カリスマ店員から週刊誌記者になった女性。「母に内緒で父の愛人と仲良くしていた」“ホンネを聞き出す力”の原点
人間関係が複雑化する現代社会において、コミュニケーション能力の重要度はより高まっている。退陣が決まった岸田文雄首相の「聞く力」発言然り、聞く力のない人の評価はどうしても低くなってしまう。そんななか、渋谷109のカリスマ店員から週刊誌記者に転身した山田千穂氏の著書『ずるい聞き方 距離を一気に縮める109のコツ』(朝日新聞出版)が注目を集める。
これまで3000人以上に取材し、一般人から芸能人、政治家などクセの強い人ともコミュニケーションを計り、聞く力を養ってきたという山田千穂氏はその能力をどのように身につけてきたのか。「対象者が話したくなる聞き方も大切」と話す彼女にインタビューしてみた。
――本を読んでみて、すごく時代に合った本だなと思ったんですが、どのような反響が届いていますか?
山田千穂氏(以下、山田):若い世代の女性に向けて作ったつもりだったのですが、想像以上に年代、性別もバラバラで、想定していなかった50代の男性も多く読んでいただいているようでした。 あとは、占い師の方がかなり買ってくださっているとも聞きましたね。
――職務や立場上、円滑な対話や「聞き出すコツ」を切実に望んでいそうな層ですね。
山田:コミュニケーションが苦手な人ほど、『話し方』ばかりに気をとられてしまいがちです。話し方に関する本も山ほど出版されていますが、世の中には話したい人が圧倒的に多くて、話したい人同士でコミュニケーションしようとするため、聞く力がないがしろにされているのだと思います。
私自身、この10年でコミュニケーションは一方通行では成り立たず、自分が話す前に聞くことが大事だと痛感していて、「ずるい聞き方」という本のタイトルにしていますが、相手をだましたり、陥れたり、負かしたりしようとするという意味ではなく、「この人にはなぜか本音を話したくなる」と思われるようなコツがたくさんあると思って、その方法を伝えたかったんです。
実際、週刊誌の記者は、基本的に警戒されていることが多く、そもそも歓迎されていないところからコミュニケーションをスタートしなければならない(笑)。そんななか、初対面の相手にも心のガードを外して気持ちよく話してもらうためには、相手への敬意があってこそ。『つい話してしまった!』と思っても憎めない、『仕方がないか』と後味も悪くなく、信頼にもつながるチャーミングなコミュニケーション術って、週刊誌記者じゃなくても、普段のビジネスシーンや人間関係においても必要だと思うんですよね。
――山田さんはカリスマ店員として渋谷109で働いていました。その頃のコミュニケショーン術もやはり役に立ちましたか?
山田:接客業の経験は、もちろん影響しています。1日に500万円売り上げたこともあって、それは「この人が求めている服を聞き出す力」があったからだと思うんです。でも、思い返すと私のコミュニケーションの原点は、幼少期から母子家庭で貧しく、友達も呼べないほどボロボロの家で育ったことへのコンプレックスが原動力になっていたなと思うんです。小学校2年生のときに両親が離婚して、その原因でもある父の愛人に自分から積極的に話しかけて大学生くらいまでずっと仲良くしていたんです。もちろん当時は母に内緒で…。
父の愛人とのコミュニケーションが「聞く力」の原点!?
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