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推定年収2500万円。優秀な後輩を大量に辞めさせ「異例の出世」をした50代役員。狙われた社員は“異端扱い”に

上司には腰が低く、忠実なイエスマン

お酌 編集マンEは社外の者ではあるが、この会社に頻繁に出入りしていただけによく見ていた。 「Aは上司である本部長、部長、副部長には腰が低く、忠実なイエスマンとして行動をとる。いつもおしゃれで、バイクでさっそうと出社する。自分が優位でいないと不安になるみたいで、部員40人程のうち、特に将来有望なプロパーの男性社員を狙い続けた。男性たちが、Aの未熟なマネジメント力に不満を漏らすと、周囲が怖いと感じるほどにいじめ抜き、辞めるように仕向けていた」  捉え方によっては、Aは後輩の男性たちを熱心に指導していたと見ることができるのかもしれないが、元社員たちはそうは見ない。「一線を超えたパワハラ」「自分が中心にならないと、我慢ができないようだった」(元社員B)と指摘する。

異例の「出世」

 Aは競い合う相手がいないから、昇格は早い。45歳で部長、48歳で執行役員となり、52歳でプロパー初の常務取締役となった。推定年収は、2500万円。プロパーでは、異例の「出世」である。元社員たちはAの優れた面を把握していなかったが、実は何かが優れていて、それを上司たちから高く評価されたのかもしれない。  EによるとAは今度は出向や転籍者を狙い、数を減らすように社長や専務に頼んでいるという。プロパーを増やし、自分中心の態勢をゆるぎないものにしたいようだ。それはプロパーにはいいことなのかもしれないが、転籍者からすると厄介な役員に映るのではないだろうか。  役員4年目の今、部員40人程の部署のほか、総務や経理などの管理部門の責任者も務める。部下は、70人に近い。4人の役員の中では、その数は最も多い。確かに会社員としては大出世であり、すばらしい実績と言えよう。だが、こういう会社ではさしたる実績がなくとも、在籍しているだけで何らかの役職に就く社員が少なくない。  まして、同世代の社員がほとんどいないならばある程度の権力を掌握できるかもしれない。Aのような管理職や役員が生まれやすいと言えよう。さてこの常務は専務に、そしてやがては社長になるのだろうか。 <TEXT/村松剛>
1977年、神奈川県生まれ。全国紙の記者を経て、2022年よりフリー
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