仕事

推定年収2500万円。優秀な後輩を大量に辞めさせ「異例の出世」をした50代役員。狙われた社員は“異端扱い”に

言動の揚げ足をとり、いじりまくる

パワハラ上司

※画像はイメージです

 取引先の編集マンであるEは「Aは女性社員には『あの男は、取材相手とのトラブルを隠している』と吹聴していた」と明かす。元社員Cは「さらには、部員10数人の前で男性の言動の揚げ足をとるなど、いじりまくっていた。狙われた男性はしだいに孤立し、やる気を失っていく。自分たちもそうだった」と話す。  本来は管理職たちがAの言動を問題視し、止めさせないといけない。ところが、何もしない。この時点での管理職全員が放送局からの出向や転籍者である。出向者は、2~3年で放送局に戻る。転籍者の平均年齢は、50代後半。60歳の定年を前に波風をたたせたくないのか、見て見ぬふりを貫く。  この手口で次々と男性社員は辞めさせられる。残るのは女性のみだったようだ。女性たちも30代半ばまでに結婚などを機に退職する。女性で、Aを悪く言う人はまずいない。ある面では、人望があるのだろうか。結局、プロパーで社に残るのはAだけとなる

課長だが、部長以上の権力を握る

当時、Aは非管理職でありながら30代前半で怖いものがなく、やりたい放題だった。ますます、後輩の男性へのいじめをエスカレートさせ、追い出しを図る。38歳で課長になった時点で出向者である部長と副部長以上の権力を持っていた」(取引先の編集マンE)。同様の証言をする元社員はほかにも多くいた。  部員40人たちの企画や制作態勢、予算の分配、社員(ディレクター)の配置はAが決める。部長や副部長は出向者であり、部内を正確に把握できていないためだ。常にAにこれまでの事情や経緯を確認し、判断をする。Aに権限や権力が集中する仕組みが出来上がっていたのだ。部長らからは、相当な信頼を得ていたのだろう。  Aから執ようないじめを受けた元社員Bはクールに振り返るが、「Aはディレクターとしての実績は乏しいが、同世代のプロパーの社員がいないがゆえに大胆に仕切ることができた。ここまでの権限を持つ課長は、社内には1人もいない。前例もない。40歳前後で完全に部内を掌握していた」と言葉は厳しい。
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上司には腰が低く、忠実なイエスマン
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1977年、神奈川県生まれ。全国紙の記者を経て、2022年よりフリー
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