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再雇用後の給料はなぜ大きく減るのか?企業が裏で駆使する「あの手この手で段階的に減給する」カラクリ

減給コンボで不安MAXのシニア

再雇用

写真はイメージです

このようにそれぞれは小さな幅でも連続することで大幅に給料を削っていく「減給のコンボ」によって、かなり大幅な減給となった体験談を数多く聞いている。 例えば、給料が減る前の額から、役職定年や病気後の配置転換で10%減、そこから定年後再雇用で40%減、さらに業績低迷による減給で10%減と段階的に下がったとすると、最終的な給料は減る前の金額の48.6%と50%を割ってしまう。 実際に50代で大病を患った建設業の技術者は、復帰後ほどなく60歳定年を迎えた際、配置転換とセットで大幅な減給となった。彼は仕事で負う責任があまり変わらなかったことから、転職を決意したという。 また、正確にはサラリーマンではないが、フリーランスの立場で工場勤務をしていた技術者は、工場が業績不振となって自身の仕事もどんどんなくなり、収入がほとんどゼロに近づいてしまった。異業種に転職したものの、最盛期の3割程度の収集でやりがいも得られず、私たちのサポートで最盛期の半分程度の給料の仕事に就いた。 どのケースでも追い打ちをかけるように減っていく給料に、安定した給料の仕事に転職するまで不安は募る一方だったという。

「30%減給」なら転職すべき?

このように定年前後の大幅な減給について、もちろん違法性があれば、会社への損害賠償が認められることもあるが、裁判の長期化や、その費用など、負担は大きい。 給料が下がってしまった会社で再び昇給するのは難しく、裁判の負担も大きい中では、少しでも良い給料の会社に転職・再就職することが、定年前後の人にとっては現実的な一手となっている。実際に私たちが転職・再就職を支援したシニアでも、さすがに減る前の給料を超えるのは難しくとも、大幅アップは珍しくない。 役職者や経営幹部などではない一般の社員の場合、短期間で30%以上の減給になるようであれば、転職を考えるべきだ。 もちろん、老後の転職は簡単ではないため、絶対に成功するとは限らないが、30%以上の減給だったものが、転職によって減給前の給料から見て20%以内の減少で済むといったケースはよくある。 定年については予測不可能なものではなく、決まったタイミングでやってくるため、あらかじめ自分よりも年上の社員がどうなるのか、注意深く見守っておき、早めの準備を心掛けたい。 現在、すでに定年前後での大幅な減給を体験したあとのシニアの場合は、焦って短期間で戻そうとするとかえって合わない職場に転職してしまうことも多いため、焦らず自身のスキルを再度磨きながら段階を追って戻すようなプランを考えるとよいだろう。 <文/中島康恵>
50代以上のシニアに特化した転職支援を提供する「シニアジョブ」代表取締役。大学在学中に仲間を募り、シニアジョブの前身となる会社を設立。2014年8月、シニアジョブ設立。当初はIT会社を設立したが、シニア転職の難しさを目の当たりにし、シニアの支援をライフワークとすることを誓う。シニアの転職・キャリアプラン、シニア採用等のテーマで連載・寄稿中
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