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「卒業後は就職しない」“MARCH”の女子大生が学歴を捨て、雪山へ移住するワケ

「一人で悩むくらいなら、一緒に遊ぼうよ」

そんな彼女を救ったのは、スケボー・スノボサークルの仲間と、父親の言葉だった。 「友達に”一人で悩むくらいなら、一緒に遊ぼうよ”と言われて、少しだけ心が軽くなったんです。そこから友人のバイト先に参加させてもらって、少しずつ外に出られるようになっていきました」 さらに父親が「スノボは無理しなくていいけど、山は好きなんだから、いつものリゾートバイト先に行ってみたら?」と背中を押してくれたことがきっかけで、毎年冬に行っていたリゾートバイト先に再び足を運ぶようになった。スノボーが趣味の両親の影響で、幼少期から自然が身近にあったSuzuさん。山はいつだって彼女の心を癒やしてくれる存在であったのだろう。 「友人や家族の言葉に支えられて、自分のペースを取り戻せるようになりました。また幸いにも、友人が誘ってくれたバイト先では色んな人と仲良くなれました」

学歴よりも、自分らしい生き方

Suzu回復の兆しを見せる中で迎えた就職活動。しかしながら、無理に面接をこなそうとするたびに症状が悪化し、就活を一時中断することに。 「就職活動よりも、当時は自分のコントロールで手一杯でした」と語るSuzuさん。当然、“今すぐ就活をしなくては”という焦りを感じていた。身近な双子がそばで就活をしていたのだから、なおさら新卒カードを切るか否かに追い詰められた。 自分の心身と相談し、未来について真剣に考えた末に導き出した答えは、「就職をしない」というものであった。 「無理して働くよりも、自分の好きなことをして生きていきたい。そう思うようになりました」 彼女の強い意思に対して、父親は「ダメだった時は戻ってくればいいよ、やりたいようにやれ」とだけ言ってくれた。いちばん信頼する人に送ってもらった言葉。それはやすやすとしたものではなかった。Suzuさんが覚悟を決められるように気を使ってくれたのかもしれない。 彼女の選択は、卒業後に長野や群馬などの雪山に移住し、リゾートバイトをしながら資金を貯めること。やはり大好きなスノーボードができる場所で、活動していくそうだ。「リフトの受付などがメインのリゾートバイトは、仕事が終わればあとはただで雪山を使っていいんです」と語る彼女は、その貯まった資金をもとに卒業して2年後、海外にワーキングホリデーに行くつもりだそうだ。もともと海外志向が強い彼女は、なりたい自分の未来像を着実に描いている。 最終的には、自分のペンションを開くという夢を語ってくれた。 「やっぱり自分の大好きなスノボやスキーを楽しむお客さんが気軽に集まれる場所を作りたいんです」 “大学卒業後は定職に就く”という常識を重々承知の上で、学歴には縛られず、就職とは違う形で自分らしい生き方を模索するSuzuさん。心から“好き”と思えることの“尊さ”を感じずにはいられない。彼女の今後に期待が膨らむ。 <取材・文/Cota>
社会学を専攻する現役大学生ライター。ファッションとラジオが好きな、ミーハー気質な人間です。
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