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「TOEIC中止で大学院に進学できないかも」男子大学生の訴え

 新型コロナウイルスの影響で資格試験の中止が相次いでいる。英語試験の代表格「TOEIC」は進学や就職などでスコアが必須となることが多いが、運営側は7月までの試験中止を発表。次に実施されるのは9月だ。これにより大学院進学への道が絶たれかけている男子大学生がいる。 「このままでは大学院に出願できないかもしれません……」  そう話す男子大学生の目には、不安や混乱の色が浮かんでいた。志望する大学院が受験資格とする「TOEICのスコアシートの提出」は、TOEIC中止のため手に入らない。大学側に提示された代替案は、急で間に合いそうにない。新型コロナ、大学、TOEIC運営に振り回されている状態だ。

魚の分類学ぶ男子大学生、院進学を決意

高田さん

Zoomで取材に答える高田さん

 高田俊輔さん(21歳・仮名)は、水産系の大学に通う4年生だ。研究テーマは「魚の分類」。分類学を通して魚の乱獲など食糧問題の解決に役立たせたいと考え、さらに研究を深めようと大学院進学を決めた。今夏の入試に向け、1年前から準備してきた。  志望する大学院では、入学金と修士2年間の学費で計約150万円かかる。母子家庭の高田さんは、実家からの仕送りを減らすため大学の事務アルバイトをしてきた。院進学の決意を聞いた母親は「奨学金を借りるしかない」と告げたものの、行きたい気持ちがあるならと背中を押した。  受験資格には「TOEIC、またはTOEFLのスコアシートの提出」がある。教授に言われた合格の目安は700点。2019年夏時点で高田さんのスコアは500点だった。  入試願書の提出締め切りは今年7月末。TOEICのスコア返却にはおよそ1か月を要する。6月までに200点伸ばすため、市販のテキストやオンラインの英語塾を活用した。

身を削った努力、しかしTOEIC試験中止のメールが届く…

実験

実験で使っている魚(カレイ)

 ただ、時間の確保が難しく、勉強を進めるのに苦労した。大学の講義は月~土曜日まであり、所属する研究室での実験は夜9時までに及ぶこともあった。それでも講義や実験の合間を縫ってほぼ毎日、大学で事務のアルバイトをした。参考書の購入や資格試験の受験費用を賄うため、大学近くのスーパーでダブルワークすることもあった。  集中して勉強するため、2月以降の長期休みから追い込みをかけた。TOEICの受験も3月以降に絞り、6月まで全4回受験して目標点数を上回ろうと思った。  しかし、そんな高田さんの歯車が狂い始める……。新型コロナウイルスの影響を受け、3月の試験中止に関するメールが届いた。  高田さんは当初、「(TOEICが中止になるのは)東日本大震災以来だし、連続してなくなることはないだろう」と楽観視した。  だが、その後2か月間連続で試験中止になった。志望大学に電話を掛けて対応を迫るが、「検討中」の一点張り。代わりにTOEFLの受験を勧められた。  不安に駆られた高田さんは、所属する研究室の担当教授にも相談した。そこでも「知らない。自分で考えて」の一言。対応は冷たかった。

急な代替案の提示「当事者への配慮足りない」

回答用紙

※写真はイメージです

 TOEFLは、オンラインの自宅受験ができる「TOEFL iBT Special Home Edition」を導入している。志望する大学側には試験会場にこだわらないこの試験を活用するよう言われたが、高田さんは納得できない。  受験料が高額で傾向・対策も違う試験を推奨されることに、当事者への配慮が足りないと思ったからだ。  TOEICはリスニングとリーディング、TOEFLはこれらに加えて、スピーキングとライティングがある。TOEICはビジネス上の英語力を測るために用いられるのに対し、TOEFLは海外大学への留学や進学に必要なことが多いと、用途も異なる。出題傾向や勉強法を考えると、残り3か月ほどで準備できるものではないと思った。また、1回の受験料がTOEICは6490円なのに対し、TOEFLはUS$235(およそ2万5000円)だった。  院進の道が絶たれかねない事態となっても、高田さんは就職活動に踏み切れなかった。「何も用意してきているものがない」と嘆く。早期化する就活のなか、周りの学生より遅れて舵を切ることに恐怖を感じていた。 「入試広報もでてない。(学校に入れず)卒業研究もできない。今までは夢だったのかなという感じです」
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当事者にとって1回の試験は代替不可
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