お金

道端に落ちている500円玉「拾う/拾わない」の答えでわかる“投資の適正”。10億円投資家が詳説

判断軸は大事だけれど、絶対的な「御旗の錦」にしない

一つ注意したいのは、判断軸を持つことは大事ですが、そればかりに囚われると投資の世界ではかえって失敗してしまいます。判断軸を「ゼロか1か」に置くと、実はチャンスを逃してしまう可能性があるのです。 ここで「1万円が道端に落ちていたら拾う」を「利回り6%以上の不動産物件は買う」という条件に置き換えて考えみましょう。すると、間取りも広さも申し分ない、築浅で設備もメンテナンスしていて綺麗、23区内の駅から徒歩5分圏内の中古1R、だけど一つだけ条件が折り合わず「利回りが5.9%」という物件が出てきたとき、「買わない」という判断になってしまいます。せっかくチャンスがあるのに、みすみす逃してしまうのは勿体ないことだと思います。 投資をするときには「買う」か「買わない」という二択を突きつけられます。判断は状況によって発生するもので、投資の世界には常に「波」が発生します。この波に乗るためには、「大切なことはゼロと1の間にある」と理解しておくことが求められます。つまり、判断基準は大事なのですがそればかりに囚われてはいけません。ですから、「正解なんてない」という結論になります(笑)。 「何に投資するのか?」を決めるのはあくまで自分自身で、判断軸自体は持ちながらも、多少バッファを持って動くこと。決断した後に、それを正解にできるように、「投資してよかった」と思えるように行動していくことが投資を成功に導きます。

相対評価と絶対評価の二軸で考える

さらに基準を考える際に気にしなければいけないものとして、絶対評価と相対評価というものがあります。 絶対評価は定められた基準によって優劣を評価する、相対評価は他と比較したうえでその優劣を評価する、というものですが、この評価軸を気にせずに様々なことを判断する人が多いように感じています。 例えば前述した物件を購入するときの利回りについては、相対評価と絶対評価の二軸で考える必要があります。 まず相対評価。これは他の物件や投資と比較してみることです。この際にリスクとリターンのバランスが取れていると判断すれば、「購入しても良い/購入してはいけない」の判断を下すことでよいでしょう。この時に利回り●%以上じゃないと駄目、ということで判断基準を持ってしまうと、「絶対にあり得ないものを追い求める」ことに繋がったり、「高リスクの投資商品のみを追いかける」ということに繋がります。 次に絶対評価。これは「その利回りで運用していた場合はやらなかったときに比べてプラスか?」という判断となります。いくら高利回りで運用していたとしても、その結果時間が無くなり、人間関係が無くなり、健康を害し、となった場合、果たして本当にやらなかったときに比べてプラスか?と考えたら、全くプラスではないでしょう。 かかる稼働、リスク、気分、などを総合的に勘案し、その犠牲(?)を払ってでも得られる利回りとして適正か?というのは自分自身でしかわかりません。 ですから、投資の判断の基準は自身でしか持つことができず、他人に左右されてはいけないのです。 構成/上野 智(まてい社)
1976年生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、大手通信会社に勤務。社会人になると同時期に投資に目覚め、外国債・新規上場株式など金融投資を始める。その投資の担保として不動産に着目し、やがて不動産が投資商品として有効であることに気づき、以後、積極的に不動産投資を始める。東京23区のワンルーム中古市場で不動産投資を展開し、2019年に20年間勤めた会社をアーリーリタイア。現在、自身の所有する会社を経営しつつ、東京23区のうち16区に計38戸の物件を所有。さらにマンション管理組合事業など不動産投資に関連して多方面で活躍する。著書に『43歳で「FIRE」を実現したボクの“無敵"不動産投資法』(アーク出版)
1
2
【関連キーワードから記事を探す】