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「日本のトマトは年間1万トン捨てられています」トマト農家が語る“価格高騰”の背景。廃棄ゼロを目指す取り組みも

当たり前だった“廃棄トマト”に違和感を感じたワケ

廃棄トマトに違和感を感じたきっかけ──Insagramでトマトが大量に捨てられる動画を観た時、衝撃を受けました。トマトの廃棄ゼロの活動を始めるきっかけは何でしたか? トマト男:ある時、トマトを捨てているところを友達に見せたら、「えっ、もったいなくない?」とめちゃくちゃ驚かれたんです。肥料として再利用しようにも廃棄トマトが多すぎて限界がある。僕ら農家にとっては見慣れた当たり前の風景でしたが、友人に言われて初めて違和感を感じ始めました。 実際、規格外といってもちゃんと食べられるし、規格品とほとんど変わらない。どうにかできないかなと思ってSNSにアップしたら、「高すぎて手が届かないのにこんなに捨てられているなんて!」といった声が多くて、これはトマトを食べたくても食べられない人がたくさんいるんだなと。 ──逆に、他のトマト農家からの反応はいかがでしたか? トマト男:仲の良い農家さんから人伝いに、「廃棄トマトをなくしてどうするんだ?」「俺たちにとってトマト男の活動は害だ」と言われたこともありますよ。 それと以前、活動初期に地域で規格外トマトをタダで配ったら、「そんなことするから正規品のトマトが売れなくなったけど、どんな気持ち?」と嫌味を言われたことも(笑)。

廃棄トマトを無くすのは害なのか

実際の廃棄トマト

「形が悪い」という理由で規格外になり、廃棄されるトマト

──規格外トマトは捨てないと、一軍トマトが高く売れないということでしょうか? トマト男:たとえ今後、廃棄トマト1000トンすべてを流通させたとしても、価格には影響はないと思っています。どちらかというと農家は感情論で言いがちなので、カドを立てたくはありませんが…。 規格外トマトの9割を占めるのは、流通に適さない、やわらかいトマト、割れたトマトです。 八代で出る廃棄トマトが1000トンというとものすごい量に感じますが、国内のトマト生産量約60万トンすべてを正規品のトマトとして流通させたとしても、対する1000トンなんてほんの数%程度にすぎませんから。 ──収益性が低い規格外トマトに取り組むのはやはり非効率と考えられてきたんですね。 トマト男:もちろん、産地の農家さんにも賛同を得ながら活動を進めたいと思っているので、なるべく刺激しないように、規格外トマトそのものを売るというよりは、加工品での利用を増やしていきたいと思っています。
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EDIT for FUTURE代表取締役。編集者、ライター、編集コンサルタントとして多くのメディアで編集長やライティング、記事制作を手がける。おもなジャンルはビジネス、ライフスタイル系。趣味は散歩とギターと山登り。

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